21世紀の古代史研究は、最先端の科学技術の導入によって常識が大きく書き換えられつつあります。この講座では、石器の産地同定、古代DNA、年代測定と食性分析、古病理学などの研究のフロントラインを担う4人の専門家にご登壇いただき、新たに見えてきた古代の日本列島とそこに暮らす人々をクローズアップしていきます。(宮代講師・記) 第1回(10/9) [総論−考古学は自然科学か](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=9093371)(朝日新聞編集委員・宮代 栄一さん) 人文科学(文系)の一部門とされることが多い考古学ですが、実は学問の基礎が形成された19世紀から、理系の自然科学の影響を強く受けてきました。モノの変化パターンから遺物の新旧を決める「型式学」は生物学から、出土する土層に基づきモノの新旧を決める「層位学」は地質学から援用されたものです。第1回の総論では、考古学における自然科学的な方法論の導入から現代までの歩みと、それらが考古学にもたらした影響について分かりやすく解説し、2回目以降の各講座への扉を開きます。 第2回(10/23) [黒曜石研究が明らかにする縄文時代の海峡横断−神津島産黒曜石の供給](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=9093382)(明治大学黒耀石研究センター特任教授・池谷信之さん) 伊豆半島南端から約60�q南方の洋上に位置する神津島は、中部・関東地方では信州の黒曜石原産地に次ぐ大規模な原産地である。黒曜石研究の進展により、神津島産黒曜石は増減を繰り返しながらも、縄文時代を通じて関東地方へ供給されていたことが明らかになってきた。当講座では、蛍光X線分析による原産地推定の方法、神津島への往復航海、最新のGISを用いた黒曜石分布圏の変化、さらに縄文時代の社会組織との関係について紹介する。 第3回(11/13) [最新の年代測定と食性分析が明らかにした、古代の暮らしと時間軸](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=9093385&p=239a56117f4d8c5f90f868b34be83d81cbca01c65076a5e768821ce8aa7093a4) (東京大学前教授・吉田邦夫さん) 日本列島に暮らす人々は1万5千年以上前、土器を手に入れた。煮炊きすることで縄文人の食生活は豊かになり、バラエティーに富んだ栄養豊かなものになった。調理したもののなれの果ては土器のおこげとして残り、人骨のコラーゲンにも蓄積される。研究では、これらを分析して縄文人の食卓を「見える化」すると共に、精緻な年代測定法により、その年代ごとの変化を明らかにする。どんな時代のフードスケープが見えてくるだろうか。 第4回(11/27) [古代ゲノムからみた日本列島人の成立](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=9093387)(国立科学博物館生命史研究部人類史研究グループ研究主幹・神澤秀明さん) 近年の古代ゲノム解析の飛躍的な進展により、日本列島人の成立過程がこれまでになく詳細に解明されつつある。この回では、主に縄文人・弥生人・古墳時代人の古代ゲノム研究の成果に着目し、縄文人が東ユーラシアの基層集団であることや、現代の日本列島人との関係について概説するとともに、弥生時代以降の大陸からの渡来人の流入と混血の歴史、また現代に至るまでの遺伝的変遷を紹介する。 第5回(12/25) [骨と墓から読み解く考古学](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=9093424)(明治大学文学部兼任講師、同黒耀石研究センター客員研究員・谷畑美帆さん) 古病理学は、遺跡から出土した人骨に残る病変や外傷、栄養状態の痕跡から、当時の健康状態や労働、さらには血縁関係の可能性などを読み解く学問です。また先史時代に多かった土葬が火葬へと移行していく葬送の変化には、社会や価値観の変化が深く関わっています。本講座では、人骨の観察からわかることと、副葬品や埋葬のあり方に関する検討を組み合わせることで、一つの墓にどのような人々が葬られ、それがどのような社会的意味を持っているのかを探ります。 ★各回申込もできます。ご希望の回の講座名をクリックしてください。
宮代 栄一:みやしろ・えいいち。1963年、群馬県生まれ、東京育ち。明治大学大学院文学研究科博士後期課修了(博士・史学)。89年に朝日新聞社に入社。川崎支局、福岡本部学芸部、東京本社学芸部などをへて、同社編集委員。記者として文化財や考古学、歴史などに関する記事を執筆するかたわら、古墳時代の馬具に関する論考を50本以上執筆してきた。主な研究テーマは古墳時代の馬装復元と古墳時代馬具の地方生産。論文に「埴輪の馬装と現実の馬装」、共著に『金鈴塚古墳と古墳時代社会の終焉』(六一書房、2022年)、『空白の日本古代史 』(宝島新書、2022年)、『最新DNA研究でここまでわかった! 日本人の起源』(TJMOOK、2025年)ほか。
池谷 信之:いけや のぶゆき 1959年伊豆の国市生まれ。学生時代は縄文土器研究に没頭したが、土器だけでは当時の社会に迫ることが難しいことを悟り、黒曜石研究に転進した。1994年に沼津高等専門学校の望月明彦先生とともに蛍光X線分析装置を用いた黒曜石の「全点分析」を提唱。2003年には蛍光X線分析装置を自費で購入。黒曜石原産地推定から当時の社会に迫る方法を追究している。
吉田 邦夫:よしだ くにお 1977年東京大学大学院理学系研究科 単位取得退学、1978年理学博士、学校法人 河合塾講師を経て、1995年東京大学総合研究博物館助手、助教、准教授を経て教授。2012年〜2026年総合研究博物館特招研究員。著書に『火炎土器の研究』(共著、同成社)、『アルケオメトリア−考古遺物と美術工芸品を科学の眼で透かし見る』東京大学総合研究博物館(共編著)など。専門は考古科学・文化財科学。
神澤 秀明:かんざわ ひであき 国立科学博物館生命史研究部人類史研究グループ研究主幹。専門は分子人類学。日本列島を中心とした古代人のゲノム解析を通じ、人類集団の起源や成立過程を研究している。新潟大学卒業、総合研究大学院大学博士課程修了。著書に『ゲノムでたどる古代の日本列島』(共著、東京書籍)がある。
谷畑 美帆:たにはた・みほ。明治大学文学部兼任講師・同黒耀石研究センター客員研究員。東京芸術大学大学院博士課程修了。博士(学術)。古墳時代の装身具研究を発端に、被葬者である人骨と墓から過去の社会様相を明らかにする研究を行っている。著書に『骨と墓の考古学』『コメを食べていなかった?弥生人』『O脚だったかもしれない縄文人』ほか。アウトリーチ活動として、古墳時代を舞台にした歴史小説『鈴鳴りの彼方で』を上梓した。
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