西田幾多郎の哲学は、分かりにくいものの代表のように思われ、坐禅の経験がないと理解できないという俗説すらあります。しかし、実際には、誰でも理解できる合理的な世界観であることを説明したいと思います。メインテーマとサブテーマを腑分けすることで、西田哲学全体の主旋律を簡潔にまとめることができるのです。処女作である『善の研究』も、読者を混乱と誤解に陥らせる落とし穴が多く、古来さまざまに解釈されてきました。しかし、「西田イコール坐禅」のイメージを払拭してコツをつかみさえすれば、明晰に理解可能であり、西田哲学の原点をそこに読み取ることができます。(講師・記)
重久 俊夫:哲学および思想史研究家 1960年生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。研究分野は哲学(時間論)、世界史理論、憲法思想史。人文死生学研究会幹事。西田哲学会、比較文明学会所属。著書に『メタフィジックス』(晃洋書房)、『西田哲学とその彼岸』(晃洋書房)、『この世界の価値について』(晃洋書房)、『天皇制と王権思想』(晃洋書房)、『ワールドヒストリー』(東洋出版)ほか。共著に『人文死生学宣言』(春秋社)、『この私が死ぬということ』(春秋社)。
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