中世は、宗教的IDが個人の所属を決定した時代で、ユダヤ人は、イスラム圏とキリスト教圏の両方に展開し、スファラディとアシュケナジの2つの集団を形成しました。中世は領土が比較的安定して宗教文明が発展したとすれば、15世紀の世界変動を経て、激動の近世に突入した感があります。各地で新たな民族と国家の活動が始まる中で、離散ユダヤ社会は全体として東へ向かい、新世界にまで広がって、文字通りのグローバルヒストリーを生きる存在となります。近現代の背景となる諸民族の台頭により、過酷な試練が待ち受ける時代にユダヤ社会はどう立ち向かっていったでしょうか。(講師・記) 【10月期】 第1回 1453-1492を宗教史的観点から総括する 第2回 スペイン追放のユダヤ人とオスマン帝国の台頭 第3回 カバラーのメシア待望論によるユダヤ新時代の期待 【1月期】 第4回 書物の民のイタリア・ルネサンス 第5回 宗教改革期のドイツとポーランド:アシュケナジ―ムの東漸 第6回 覇権はイベリアからオランダへ:新世界とアジアのコンベルソ
市川 裕:いちかわ・ひろし 東京大学名誉教授 2019年3月まで東京大学教授(大学院人文社会系研究科・文学部)。名誉教授。専攻は聖書とユダヤ教。大学で法学を学んだ後、宗教学の大学院で旧約聖書を学ぶ。イエス時代以後のユダヤ教に強く惹かれ、エルサレムのヘブライ大学に留学、律法研究に取り組む。生きた宗教の現場を経験するため、現地のシナゴーク(ユダヤ教会堂)で1年間、毎朝の礼拝に出席し、一般庶民の生活の中に深く根ざした宗教の営みに感銘を受ける。帰国後に東洋の宗教を学び直し、思索を深めた結果を、主著の『ユダヤ教の精神構造』(東京大学出版会、増補改訂版2020)にまとめた。他に『ユダヤ人とユダヤ教』岩波新書2019、『ユダヤ教の歴史』山川出版社2009、『ユダヤ的叡智の系譜: タルムード文化論序説』東京大学出版会2022など。
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