大江健三郎は「戦時」と「戦後」のつながりを問い直し、日本社会の閉塞的な状況を文学的な想像力で捉え続けてきた作家でした。1973年には「新しい戦前」という言葉で核時代の危機を指摘しました。そんな大江の初期小説から最晩年の作品までを、文学と歴史学の視点で読み直した『大江健三郎を読む』(集英社新書)が刊行されます。 本講座では、朝日カルチャーセンター新宿校で行われた連続講座をもとにした同書の刊行を記念して、戦後80年が過ぎた今、大江健三郎を読むことの意義とは何かを考えます。また、現実化してきた「新しい戦前」にこそ読むべき大江作品を両講師に選出していただきます。この世界の現在的な危機を大江作品を通して見つめる機会となるでしょう。(長瀬氏・記) ★講座終了後、書籍販売・サイン会を開催いたします★ <書籍情報> [『大江健三郎を読む 文学と歴史の複眼的視点から』](https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-721423-9)(集英社新書) 著者:小森 陽一 、成田 龍一/構成:長瀬 海 2026年8月7日発売
小森 陽一:こもり・よういち 東京大学名誉教授 1953年生まれ。北海道大学大学院文学研究科修了。成城大学文学部助教授、東京大学助教授・教授を経て現職。著書に『構造としての語り』(新曜社)、『読むための理論 文学・思想・批評』(世織書房)『知の技法』(共著・東京大学出版会)、『ことばの力・平和の力 近代日本文学と日本国憲法』(かもがわ出版)、『難民(思考のフロンティア)』(共著・岩波書店)、『戦後日本は戦争をしてきた』(共著・角川書店)、『理不尽社会に言葉の力を』『戦争への想像力』『生きさせる思想−記憶の解析・生存の肯定』(新日本出版社)、『天皇の玉音放送』(朝日新聞出版)、『漱石論 21世紀を生き延びるために』(岩波書店) 、『東アジア歴史認識論争のメタヒストリー』(共著・青弓社)、『壊れゆく世界と時代の課題』(共著・岩波書店)などがある。
成田 龍一:なりた・りゅういち 日本女子大学名誉教授 1951年生まれ。日本女子大学名誉教授。専門は近現代日本史。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。著書に『近現代日本史と歴史学』(中公新書)、『増補「戦争経験」の戦後史』(岩波現代文庫)、『近代都市空間の文化経験』(岩波書店)、『加藤周一を記憶する』(講談社現代新書)他多数。
長瀬 海:ながせ・かい 1985年、千葉県出身。ライター、書評家。翻訳にマイケル・エメリック「日本文学の発見」(『日本文学の翻訳と流通』所収、勉誠社)、近刊に学生時代の「先生」だった加藤典洋と過ごした14年間を綴った『僕と「先生」』(講談社)がある。
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