今年度、全国で開催される展覧会をみるとファン・ゴッホ展が多く、日本でも人気を誇る画家であることから、2026年度前期の「フランス美術講座」では彼の作品を取り上げます。まずファン・ゴッホの作品を中心に、次に彼が知的・技術的影響を受けた画家たち(ピサロ、モネ、デューラ―、セザンヌ等)、及び、受講生の希望も取り入れた6回の講座で、各回とも2、3点ずつ取り上げます。 近代絵画の父から現代絵画の父へ―セザンヌと初期マルセル・デュシャンー ファン・ゴッホはパリでセザンヌ(1839-1906)に出会い、セザンヌ絵画を見る機会もあり敬意を払っていた。しかし、セザンヌの幾何学的な構成の追求は、むしろキュビスムの画家たちに影響を与えた。マルセル・デュシャン(1887-1967)は初期の頃、キュビスムの作品「階段を降りる裸体No2」で時間的・運動的概念を表現するが、その後は、レディ・メイド(既製品)のものを芸術品とする考える芸術(コンセプチュアル・アート)を創始し、現代アートのあり方を変える。 セザンヌ最晩年の作品の一つ「農夫の肖像」とその5年後に描かれたデュシャンの「デュルシネ」を比較するのも興味深い。
武末 祐子:西南学院大学名誉教授 西南学院大学卒業。1986年〜1987年、フランス政府給費留学生。1987年、グルノーブル第3大学フランス文学研究科DRS(博士)。1995年、パリ・ソルボンヌ第4大学DEA取得。専門は、フランス19世紀文学。研究テーマはグロテスク美学。著書は『グロテスク・美のイメージ―ドムス・アウレアからフロベールまで』(春風社)など。フランス語教育にも関心があり、論文執筆・発表を行っている。
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