我々の人生は病で満ちています。運悪くガンやエイズ、COVID-19といった病気にかかってしまったらどうでしょう。まずは適切な治療を受けることが必要ですね。しかしそうした判断を狂わせるものがある、とソンタグは言います。たとえばガンは我慢のしすぎが原因だ、といった神話です。『隠喩としての病い』で彼女は、神話がどのように作られ、いまだ支配力を持っているかを暴きます。さらに『エイズとその隠喩』で彼女は、排除では物事は解決しない、と論じます。ウィルスを持っている人々を排除しきることはできません。なぜなら、我々全員がミクロのレベルで繋がっているからです。排除から連帯へ、というソンタグの思考に耳を傾けてみませんか。(講師・記) ※参考図書:スーザン・ソンタグ『隠喩としての病い/エイズとその隠喩』(岩波文庫)
都甲 幸治:とこう・こうじ 1969年、福岡県生まれ。翻訳家・アメリカ文学研究者、早稲田大学文学学術院教授。著書に『教養としてのアメリカ短篇小説』『別冊NHK100分de名著 集中講義ヘミングウェイ 過酷な世界を生き抜く倫理(NHK出版)など、訳書にブコウスキー『勝手に生きろ!』(河出文庫)、『郵便局』(光文社古典新訳文庫)、モリスン『暗闇に戯れて――白さと文学的想像力』(岩波文庫)、デリーロ『ホワイト・ノイズ』(水声社、共訳)。
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