「通常の理性ではとらえられないけれど、なにかとても奥深く、人生にとって決定的に重要な意義をもつように感じられるもの」に出会ったとき、ひとは「神秘(ミステリー)」と言いたくなる。その神秘をめぐる思想や実践を指して「神秘主義(ミスティシズム)」という言葉が生まれた。思想や芸術の分野でも用いられるが、もともとは宗教が、神秘主義が語られる本場である。むしろ、神秘主義は、キリスト教の中での一つの思想的系譜として、あるいはキリスト教の核心をめぐるある種のとらえ方として、内実を与えられてきたのだった。この講座では、この「内実」を、できるだけ広い視野にたって紹介してみたい。(講師・記) 各回テーマ 第一回:キリスト教と神秘主義のかかわり;キリスト教は神秘主義とどのような関係にあるのか。新約聖書と根本教義を主題材に、「神秘」という言葉そのものに着目してとらえなおしたい。 第二回:キリスト教神秘主義の展開;「神秘的合一」をキーワードに、キリスト教神秘主義の系譜をかたちづくる大きな流れを、古代から近代まで概観したい。 第三回:キリスト教神秘主義の可能性;神秘主義には通常の社会的通念を踏み越えていく危うさがある。「神秘体験」ということをキーワードに、キリスト教神秘主義の、より広くは「宗教的なもの」の、現代的なあり方について示唆してみたい。 【シリーズ「神秘主義」特集ページ】 https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WTokushuShosai.do?tokushuId=5652&mode=preview
鶴岡 賀雄:東京大学名誉教授 鶴岡賀雄(つるおか よしお)。1952年生。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得。博士(文学)。東京大学名誉教授。著書、『十字架のヨハネ研究』、他。訳書、エリアーデ『世界宗教史』、他。専門は、宗教学、西洋宗教思想、スペイン神秘主義。
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