福岡市郊外の篠栗町には、江戸時代後期に成立した本四国の写し霊場の新四国八十八ケ所霊場があり、多くの巡礼者を集めてきた。札所第一番の南蔵院は寺の年中行事も数多く、参詣者が一年中絶え間なく訪れて賑わいを見せている。南蔵院は現代でも精力的に活動を展開する仏教寺院である。特に平成7年(1995)に建立された「釈迦涅槃像」には国内の信者のお詣りが多く、「ねぼとけさん」の愛称で親しまれている。ブロンズ(青銅)製としては世界最大級とされる。南蔵院の巨大涅槃像は人々を圧倒する。その基壇には納骨堂が収まっている。双方は切り離すことは出来ず一体化していた。いかなる事情で両者はできあがったのか。その歴史的経緯と現在の状況を検討する。(講師・記) 写真:篠栗南蔵院巨大涅槃像
鈴木 正崇:すずき・まさたか 1949年東京都生。慶應義塾大学大学院修了。文学博士。現在、慶應義塾大学名誉教授。日本山岳修験学会会長。著書に、『中国南部少数民族誌』(三和書房)、『山と神と人』(淡交社)、『スリランカの宗教と社会』(春秋社)、『神と仏の民俗』(吉川弘文館)、『女人禁制』(吉川弘文館)、『祭祀と空間のコスモロジー』(春秋社)、『ミャオ族の歴史と文化の動態』(風響社)、『山岳信仰』(中央公論新社)、『東アジアの民族と文化の変貌』(風響社)、『熊野と神楽』(平凡社)、『女人禁制の人類学』(法蔵館)、『日本の山の精神史』(青土社)、『山岳信仰と修験道』(春秋社)、『神楽の文化史』(法蔵館)。編著に、『大地と神々の共生』(昭和堂)、『東アジアの近代と日本』(慶應義塾大学出版会)、『神話と芸能のインド』(山川出版社)、『東アジアの民衆文化と祝祭空間』(慶應義塾大学出版会)、『南アジアの文化と社会を読み解く』(慶應義塾大学出版会)、『アジアの文化遺産』(慶應義塾大学出版会)、『森羅万象のささやき』(風響社)。1997年慶應義塾賞、2014年木村重信民族藝術学会賞(民族藝術学会)、2016年秩父宮記念山岳賞(日本山岳会)、2022年女性文化研究賞受賞(昭和女子大学)、2025年第34回日本山岳修験学会学会賞受賞。
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