折口信夫は疎外された孤独な魂に深い関心を寄せ、そこにこそ日本の宗教性の重要な位相があると考えた。それはスサノオに典型的に現れているが、反逆したり、殺害されたりする皇位継承候補者への共鳴としても表現されている。天若日子、ヤマトタケル、オオヤマモリ、大津皇子といった系譜だ。悲劇的な存在こそが、原初的な宗教性を宿し、死と再生の信仰を担いうる存在とみなしていた。それは、また彼の短歌表現とも重なっている。「かそけさ」は悲劇的なものを宿した孤独を表すものであり、そこに自らの詩的表現の拠り所があると考えるようになった。こうした宗教性と「大嘗祭の本義」や「既存者」などの独自の神道理解とがどう関わっているのか考えていく。(講師・記)
島薗 進:専門は宗教学、死生学。1948年東京生まれ。上智大学グリーフケア研究所客員研究員、東京大学名誉教授。大正大学客員教授、龍谷大学客員教授、曹洞宗総合研究所講師、NPO東京自由大学学長。日本宗教学会元会長。宗教理論の研究、日本宗教史の研究、死生学、公共哲学、生命倫理などを研究領域とする。日本宗教学会賞、湯浅賞、朝日賞を受賞。著書に、『宗教学の名著30』、『いのちの始まりの生命倫理』、『スピリチュアリティの興隆』、『国家神道と日本人』、『日本仏教の社会倫理』、『日本人の死生観を読む』、『宗教を物語でほどく』、『いのちを“つくって”もいいですか?』、『ともに悲嘆を生きる』、『教養としての神道』、『死生観を問う』、『なぜ「救い」を求めるのか』などがある。
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