自然の中に一歩足を踏み入れると、そこは日常を忘れさせてくれる異次元空間が広がっています。日々の生活や仕事から開放され、奥の深い未知の世界とむき合います。「なぜ?」「どうして?」と問いかけてみたくなります。本講座では、身近な生物をはじめ絶滅の危機にある生物も含めて、私がフィールドで感動したこと、不思議に思ったこと、あるいは観察を通して納得できたことなどを取り上げます。昆虫や野鳥を取り上げその生態や生活環境、人との関わり合いなどを限り掘り下げていく中で、動植物の複雑なつながりに気づくことも多々あります。それこそが自然観察の醍醐味ではないでしょうか。自然は、季節や地域によっても様々な顔をみせてくれます。その森羅万象を紐解くのは容易ではありません。しかし、けっして急ぐことなく、楽しみながら観察を積み重ねたいと思います。 夏編は、トンボ類では最大級のヤンマの仲間、高山でくらすライチョウ、稲刈りの水田で群がるサギ類などに注目します。大きな複眼がとても美しいヤブヤンマやマルタンヤンマはなぜ猛暑の日に姿を見せるのでしょうか。日本のライチョウは世界で最も南に分布しており、地球温暖化の影響を最も受けやすいのはなぜか、その理由に迫ります。9月になると関東地方南部では稲刈りが始まります。コンバインを取り巻くようにチュウサギやアマサギが集まってきます。ダイサギやアオサギ、コサギなどはなぜ集まってきません。水田はどこも同じように見えるのに、渡り鳥が多く飛来する田があります。カブトエビ(カブトガニに似た甲殻類)が生息する田もあれば生息しない田もあります。そうした違いは何なのか考察します。(講師・記) 【カリキュラム(予定)】 <2026年4月期> 春編 第1回 春植物の開花と送粉:カタクリとギフチョウ 第2回 シジュウカラの子育て戦略:人との距離 第3回 興味つきないクモの世界:数々の名ハンター <2026年7月期> 夏編 第1回 熱中症警戒アラートとヤンマ観察 第2回 涼しいアルプスでライチョウウォッチング 第3回 アマサギ、チュウサギのオートライシズム <2026年10月期> 秋編 第1回 昆虫たちの大移動:渡りをする蝶、トンボ 第2回 モズの高鳴き、モズのはやにえ 第3回 成虫越冬:小枝に化けたホソミオツネントンボ <2027年1月期> 冬編 第1回 カモ類の婚活でにぎわう冬の湖沼 第2回 レンジャクとヤドリギの不思議な関係 第3回 ヒキガエル:真冬に産卵するのはなぜ *** 【広報画像】 @猛暑の夏に現れるヤブヤンマ(♂)(東京都内の公園)(講師撮影) A周囲を警戒するライチョウの親鳥と雛(円内)(富山県・立山連峰)(講師撮影) Bコンバインを取り囲むサギの群れ(埼玉県・水田地帯)(講師撮影)
唐沢 孝一:(からさわ・こういち)NPO法人自然観察大学前学長。東京教育大学(現筑波大学)理学部動物学科を卒業。都立高校の生物教師を経て、埼玉大学教育学部で「自然観察入門」を担当。日本鳥学会評議員、都市鳥研究会代表、NPO法人自然観察大学学長などを歴任。執筆や講演、自然観察など多方面にわたって活動している。著書に、『唐沢流 自然観察の愉しみ方――自然を見る目が一変する』(2014)地人書館、『目からウロコの自然観察』(2018)中公新書、『都会の鳥の生態学――カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰』(2023)中公新書、他多数。
【参考文献】 ●唐沢孝一『唐沢流 自然観察の愉しみ方――自然を見る目が一変する』(2014)地人書館
●7/31は、第5週。 教室でもオンライン(Zoomウェビナー使用)でも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(2週間限定)はマイページにアップします。