21世紀に入っても人類は戦争を繰り返し、核兵器の使用すら話題になっています。現在、地球上には1万発に近い核弾頭が配備されています。いったん核兵器が利用されると、人類の滅亡も非現実的ではありません。一方、核エネルギーは原子力発電所としてエネルギーの重要な供給源であり、将来的に人類のエネルギー消費をまかなうエネルギーの切り札として期待されています。唯一の被爆国であり福島原発事故を経験した日本にとって核の話題は軍事利用であれ、平和利用であれ敏感にならざるを得ない状況にあります。本講座では、核エネルギー、核兵器にまつわる歴史、人物などを通して、核に対する正しい理解を目指します。(講師・記) 【カリキュラム】 第1回 原子核の発見、原子核の構造 核エネルギーとは,原子の中心に位置する原子核の何らかの変化に起因するエネルギーです。核の知識の大前提として、原子核の存在を人類が知るまでの長い歴史を紹介します。さらに原子核の構造とその状態が変化する現象の発見について説明します。 第2回 核分裂と核融合 原子核の構造が解明されてほどなく原子核が分裂することが発見されます。この発見はアインシュタインの質量とエネルギーが等価であることと結びついて核兵器への道が見えてきました。一方で原子核同士が融合することでエネルギーが解放されること、そしてそれが星のエネルギー源であることも分かってきました。これらのことを詳しく紹介します。 第3回 核兵器開発の背景と現実 第二次大戦の激化に伴って核分裂を利用した兵器の実現に向けての研究が、アメリカ、イギリス、ドイツ、そして日本で始まります。最初に実現したのがアメリカのマンハッタン計画です。マンハッタン計画に至るまで、そしてその進展と原子爆弾の完成について紹介します。 第4回 原爆から水爆へ 最初に開発された原子爆弾は広島と長崎に落とされ、多数の無辜の人々の命をうがいました。その開発に携わった科学者の一部に強い自責の念をもたらしましたが、さらに虚力な水爆の開発を強く主張する科学者も存在し、結局、最終兵器とも呼べる水爆が出現しました。この経緯と水爆の仕組み構造について紹介します。 第5回 原子力発電所と事故 第二次世界大戦後の世界のエネルギー事情に大きな役割を果たしたのが核分裂を利用した原子力発電です。原子力発電の仕組みと放射性廃棄物について詳しく説明します。また原子力発電所は福島を含めてこれまで深刻な事故が起こっています。それの事故と、それによる放射能の影響について解説します。 第6回 核融合炉 核の平和利用の最終形は、人類をエネルギー問題から解放する核融合発電です。現在、日本も含めた世界各国で近い将来の商業的利用を目指して研究が進んでいます。現在最も有望と考えられている核融合炉の仕組みと、将来の展望について説明します。 *** 【広報画像】 @イメージ画像 Aイメージ画像 B物質の構造(物質の最小単位は原子。原子の中心に莫大な核エネルギーを秘めた陽子と中性子からできた原子核がある。)(講師作成)
二間瀬 敏史:(ふたませ・としふみ)東北大学名誉教授。専門は、一般相対性理論、宇宙論。1981年京都大学理学部卒業。1983年カーディフ大学大学院博士課程修了(イギリス)。マックスプランク天体物理学研究所、ワシントン大学研究員、弘前大学理学部助教授、東北大学大学院理学研科教授、京都産業大学理学部教授を経て、東北大学名誉教授。著書に『ブラックホール―宇宙最大の謎はどこまで解明されたか』(2022)中公新書、『どうして時間は「流れる」のか』(2012)PHP新書、他多数。
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