韓半島の南東部に拡がる弁韓は十二の小国群からなり、なかでも大河洛東江の河口に展開した駕洛国は、「魏志」東夷伝にみえる狗耶韓国と同一とみられ、4世紀以降、金官伽耶国に成長します。 金海良洞里178号墳は、奈良県ホケノ山古墳や徳島県萩原1号墳の石囲木槨墓と構造的に類似しています。ホケノ山古墳からは韓半島特有のサルポも出土し、狗耶韓国と邪馬台国の関係解明が必要です。 3世紀中葉の大成洞45号墳は木槨墓で、瓦質・軟質土器とともに、楔状の鉄素材がまとまって出土しました。福岡県春日市の赤井出遺跡や福岡市飯倉D遺跡でよく似た鉄素材が出土してます。この段階では近くの金海良洞里遺跡のほうが上位にあり、同時期の良洞里235号墳では最新技術であった陶質土器が出土しています。3世紀後半には金官国(駕洛国)がこの地域の盟主となり、大成洞古墳群に王墓が営まれます。大成洞29号墳では、両耳付短頸壺や小型短頸壺、平底壺などの多数の陶質土器、瓦質土器とともに、北方系の金銅冠や銅鍑、板状鉄斧や定角式鉄鏃が出土し、類似する鉄鏃が出土した椿井大塚山古墳は三角縁神獣鏡や魏晋甲冑を副葬し、崇神朝に反乱を起こした武埴安彦の墓とする説があります。4世紀前半の大成洞13号や18号では倭製の碧玉製鏃やヒスイ勾玉が出土し、崇神末年には任那(金官伽耶)の外交官蘇那曷叱知が来航を伝え、大成洞古墳群の状況と対応します。これらの資料を解説します。
桃ア 祐輔:福岡大学人文学部歴史学科教授 1967年(昭和42年)3月12日生まれ。福岡大学人文学部教授(考古学) 福岡県福岡市出身 筑波大学大学院歴史・人類学研究科文化人類学専攻を単位取得退学。東京国立博物館事務補佐員、筑波大学助手を経て2004年に福岡大学に着任。2018年に中国社会科学院考古研究所・吉林大学・西北大学で1年間の在外研究に従事。ユーラシア騎馬文化・中近世仏教考古学が専門で「中世とは何か」の解明をめざす。 主な著作に「高句麗太王陵出土瓦・馬具からみた好太王陵説の評価」(『海と考古学』2005)、「七支刀の金象嵌銘技術にみる中国尚方の影響」『文化財と技術 4』2005)、「中世棒状鉄素材に関する基礎的研究」(『七隈史学』第10号)、「九州の屯倉研究入門」(『還暦、還暦?、還暦!』2010)、「九州出土子持勾玉研究入門」(『福岡大学考古学論集2』2013)、桃崎祐輔「騎馬文化の拡散と農耕文明との融合−江上騎馬民族征服王朝説が描く文化融合モデルとその今日的意義−」(『今、騎馬民族説を見直す』2014)「山の神古墳出土馬具の検討―2セットのf字形鏡板付轡・扁円剣菱形杏葉の年代とその意義―」(『山の神古墳の研究』2015)「金属容器」(『モノと技術の古代史 金属編』2017)「英彦山信仰遺跡と遺物からみた英彦山の歴史」(『英彦山の宗教民俗と文化資源』2017)など
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