「蝦夷の信仰」は、古代みちのくに於ける開拓と、開教に幕が開きます。そして、そこに「着夷」から「脱夷」へ「転夷」の華夷思想がめばえ、「エミシ」から「エビス」へ、「エゾ」の民族意識が展開します。「転夷」された「エゾ」は、中世アイヌ民族として室町時代に本格的な和人の渡道を受け、和人初の蛎崎政権下に宗教移民としての中世寺院が建立されます。中世における開拓と開教となります。 近世幕藩制期の蝦夷は、前期幕府蝦夷直轄期に、いわゆる「蝦夷三官寺」による開拓と開教を迎え、有珠の善光寺と様似の等澍院および厚岸の国泰寺が建立されます。そこに、先住のアイヌ民族の独自の宗教観と、和人による仏教との文化接触が生まれ、この近世の開拓と開教は近代にも継承されていく歴史を考えます。(講師記) .
佐々木 馨:北海道教育大学名誉教授 1946年秋田県に生まれる。1975年北海道大学大学院文学研究科博士課程日本史学専攻中退。1975年北海道大学文学部助手に就任。1977年北海道教育大学講師に着任。1979年同助教授に昇任。1989年同教授に昇任。博士〈文学〉(北海道大学)。 主な著書に『中世国家の宗教構造』(吉川弘文館)、『北海道仏教史の研究』(北大出版会)、『日本中世思想の基調』(吉川弘文館)他多数。
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