フッサールは「現象学」という考え方を打ち出した20世紀の哲学者です。今回は、最晩年の1936年に発表された『危機』書と呼ばれる『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』を読みます。この著作は、ナチス・ドイツがヨーロッパを席巻しようとしていた時期に発表されました。ユダヤ人であったフッサールは、ドイツ国内では迫害を受けつつも、オーストリアやチェコで講演し、当時の学問の「危機」を訴えています。哲学という理性的営みの命運を、「超越論的現象学」というプロジェクトに託した彼の最後の著作をじっくりと読み進めます。また、フッサールが言及しているヨーロッパ哲学史上の哲学理論に関して詳しく解説するとともに、彼が提唱した「生活世界」を巡る議論を検討していきます。 ◇今期は、『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』でのBの部分、つまり心理学から出発して、超越論的哲学として〈意識の働きの分析〉を遂行することの意味を考えてみます。「心」についての現時点での哲学の議論や人工知能との対比、動物の知能との対比なども試みたいと思います。 ◇テキストは、『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』 (中公文庫)です。各自購入しておいてください。
宮原 勇:名古屋⼤名誉教授 1955年⽣、京⼤哲学科卒業、同⼤学⼤学院修了。愛知県⽴⼤学教授、名古屋⼤学教授を経て定年退官。著書:『現象学の再構築』、『ディアロゴスの現象学−対話的⾔語⾏為の構造と原理−』、『図説‧現代哲学で考える<表現‧テキスト‧解釈>』、『図説‧現代哲学で考える<⼼‧コンピュータ‧脳>』、翻訳:ジョン‧R‧サール『ディスカバー‧マインド!−哲学の挑戦』など。
テキスト:『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』 (中公文庫)
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