茨城県に鎮座する鹿島神宮は、『古事記』『日本書紀』(記紀)の神話で大国主神に国譲りを迫った神である武甕槌(タケミカヅチ)大神をご祭神としています。 しかし、鹿島神宮の鎮座伝承が記紀ではなく『常陸国風土記』に載せられていることや、そこでは香島(カシマ)大神とあり、タケミカヅチ神の名が見えないことなどは意外と知られていません。風土記にみえる香島大神への信仰には、水上交通との関係が窺えますが、国家神としてのカシマ大神(武甕槌大神)と地域神としてのカシマ大神(香島大神)との間には、どのような関係があるのでしょうか。 それを紐解くカギが、ヤマト王権による東国進出です。古代の鹿島は、水陸交通の結節点として、ヤマト王権が5世紀以降に東国進出を果たしていくうえで重要な拠点でした。古代王権にとって鹿島とその地の神がどのように位置づけられたのか、一緒に考えていきましょう。(講師記) *画像説明:鹿島神宮一之鳥居
佐藤 雄一:さとう ゆういち 1981年熊本県生まれ。駒澤大学大学院博士後期課程単位取得退学。博士(歴史学)。専門は日本古代史。島根県教育庁を経て、現職。著書・論文として『古代信濃の氏族と信仰』(吉川弘文館、2021年)、『新視点 出雲古代史』(平凡社、2024年、共著)、『古代風土記の事典』(東京堂出版、2018年、共著)「出雲国風土記と出雲の神々」(『しまねの古代文化』第26号、島根県古代文化センター、2019年)、「鹿島神宮のカシマ大神」(『別冊太陽 風土記―古代の日本をひらく―』平凡社、2018年)など。
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