歴史を振り返ってみると、ヨーロッパというところは、中世以来、イスラーム世界と絶えず接触し、様々な影響を受けてきました。とりわけ、13世紀末に成立し、アナトリアやバルカンを中心に勢力を広げてヨーロッパ諸国に隣接する強大な国家となったオスマン帝国とは、およそ600年にわたって、互いに様々な影響を与え合ってきました。多くのイスラーム教徒を抱える現在のヨーロッパ、そして、西洋的価値観とイスラーム的価値観が混ざり合うトルコや中東地域をより良く理解するためにも、両者の対立と共存の歴史的経緯を押さえておくことは重要だと思います。この講座では一年間かけて、ロシアを含むヨーロッパ諸国とオスマン帝国との関わりを、その狭間に置かれたバルカンなどの地域にも目を配りながら見てみようと思います。上半期は、オスマン帝国の成立から、オスマン帝国がヨーロッパ側に大規模に領土を喪失する17世紀末までを取り上げます。(講師・記) *2026年4月開講。全12講。 <今期の各回内容> 第一回:イントロダクション――キリスト教世界とイスラーム世界、ヨーロッパとトルコ 第二回:オスマン帝国の成立とヨーロッパへの進出 第三回:15世紀の領土拡大とコンスタンティノープル征服 第四回:16世紀の中欧進出とその影響 第五回:17世紀前半のウクライナをめぐる攻防 第六回:17世紀末の「大トルコ戦争」とオスマン帝国の敗北
黛 秋津:まゆずみ あきつ 1970年生まれ。東京大学文学部東洋史学科卒業。同大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了。博士(学術)。広島修道大学経済科学部准教授を経て、現在東京大学大学院総合文化研究科教授。専門はバルカン・黒海地域研究、近代ヨーロッパ・中東国際関係史。著書に『三つの世界の狭間でーー西欧・ロシア・オスマンとワラキア・モルドヴァ問題』(名古屋大学出版会 2013年)がある。
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