縄文時代、縄文文化というと、なにが思い浮かぶでしょうか。ハート形土偶でしょうか、火焔土器でしょうか。最近、これらが人気者になり、マスコットキャラクターや展示ポスターでよく見かけます。現代人の感覚からは理解しがたい、ミステリアスなところが興味をそそるのかもしれません。日本列島に生まれた文化でありながら、どこかわれわれの文化と異なるのはなぜなのでしょうか。前衛芸術の岡本太郎が、戦後まもなく博物館で縄文土器の爆発ぶりを見てからすっかりそのとりこになり、日本人の中に底流する野生の存在を訴えました。その対極にあるような弥生文化を岡本は毛嫌いしたことも有名です。この講座では、縄文文化に興味はあるけれど、その内容をよく知らない方のために、イロハから詳しくお伝えします。そして、縄文文化の神髄に迫ります。(講師・記) *2026年4月開講。全12講。 *オンラインのみ。教室での開催はありません。 *第5回は佐賀市文化財課・西田巌講師、第6回は東京大学准教授・根岸洋講師が講義を担当します。 ## 第1部 縄文人の暮らしぶり―衣・食・住− ### 第1回(4/1) どのようないでたちだったか 人骨やDNAからわかる縄文人の素顔、どのような衣服を着てアクセサリーを身につけていたのか見ていきます。 ### 第2回(4/15) どのようなものを食べていたか 最近では農耕のようなことをおこなっていたこともわかってきました。食器に利用された縄文土器を取り上げるこの回には、考古学の基礎作業である土器の拓本や実測の実技もリモートで披露します。 ### 第3回(5/6) どのようなコミュニティで暮らしていたか 家族・住まい・ムラにはどのようなルールがあったのでしょうか。 ## 第2部 縄文時代の有名遺跡バーチャル探訪講義 ### 第4回(5/20) 千葉県加曽利貝塚と荒海貝塚 特別史跡である中〜晩期の加曽利貝塚と晩期終末の荒海貝塚を素材に、東京湾内湾の大貝塚の盛衰を見ていきます。 ### 第5回(6/3) 佐賀県東名遺跡と菜畑遺跡 ※講師 佐賀市文化財課 西田巌 バスケットが700個以上も出土した縄文時代早期の佐賀県東名遺跡と弥生時代早期の菜畑遺跡について、東名遺跡を史跡にした立役者、佐賀市文化財課の西田巌さんに語ってもらいます(西田講師の講演後、設楽講師と対談)。 ### 第6回(6/17) 青森県三内丸山遺跡と亀ヶ岡遺跡 ※講師 東京大学准教授 根岸洋 縄文時代の遺跡として最も有名な前・中期の三内丸山遺跡と同県の晩期の亀ヶ岡遺跡を、長年世界遺産登録に尽力した根岸さんに語ってもらいます(根岸講師の講演後、設楽講師と対談)。 ## 第3部 縄文人の心をさぐる(7月期開催:5月22日お申込み開始) ### 第7回(7/ 1) 土偶と石棒−縄文時代の男と女− 土偶と石棒という、縄文時代の2大儀礼道具を取り上げてその意味を探り、縄文時代の男女のあり方を推定します。 ### 第8回(7/15) 縄文人の人生観−通過儀礼を中心に― 縄文時代には健康な歯を抜く抜歯、耳たぶに孔をあけて巨大な耳飾りをつける習慣、そしておそらくイレズミがありました。なぜ痛い思いをしたのか、探ります。 ### 第9回(8/ 5) 墓と祖先のまつり 縄文時代の墓と葬儀には、どのような特徴があるでしょうか。現代の祖先祭祀とくらべてみます。 ## 第4部 越境する縄文人(7月期開催:5月22日お申込み開始) ### 第10回(8/19) 川と山と海を越えた縄文人−交流の諸相− ヒスイや黒曜石は、原産地からはるか彼方に運ばれました。どのように流通していたのでしょうか。また、大陸との往来はあったのでしょうか。 ### 第11回(9/ 2) 弥生の中の縄文をさぐる 一見はなはだ異なる弥生文化の中に、縄文文化が息づいています。その継承や違いの中に、それぞれの文化を担ったひとの考えの違いを見出します。 ### 第12回(9/16) 考古学をこえて−縄文文化への様々なまなざし− 岡本太郎、梅原猛、水木しげるなど、分野は異なりますが、それぞれ縄文文化を愛した人たちです。これら異分野の人たちの縄文観を手がかりに、縄文文化の魅力とはなにか考えてみます。
設楽 博己:したら・ひろみ 東京大学名誉教授 1956年群馬県生まれ。静岡大学人文学部人文学科卒業、筑波大学大学院博士課程歴史人類学研究科文化人類学専攻単位取得退学。博士(文学)。専門は日本考古学(とくに縄文・弥生時代の文化と社会の研究)。国立歴史民俗博物館考古研究部助手・助教授、駒澤大学文学部助教授・教授、東京大学大学院人文社会系研究科教授を歴任。著書に『弥生再葬墓と社会』(塙書房、2008年)、『縄文社会と弥生社会』(敬文舎、2014年)、『弥生文化形成論』(塙書房、2017年)、『縄文vs.弥生』(ちくま新書、2022年)、共著に北条芳隆編『考古学講義』(ちくま新書、2019年)他多数。『顔の考古学―異形の精神史』(吉川弘文館、2021年)で第8回古代歴史文化賞大賞(2022年)を受賞。
西田 巌:にしだ・いわお 1966年福岡県生まれ。山口大学人文学部人文学科卒業。現在、佐賀市地域振興部文化財課主幹。東名遺跡の1次調査(1993年〜)、2次調査(2004年〜)を担当。おもな著作 『増補改訂版 縄文の奇跡!東名遺跡─歴史をぬりかえた縄文のタイムカプセル─』(共著、雄山閣、2018年)、『縄文編みかごの世界 東名遺跡』(新泉社、2024年)ほか。
根岸 洋:ねぎし・よう 1979年秋田県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。2002年、東京大学文学部卒業。2010年、東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻博士課程単位取得満期退学、同年博士(文学)取得。青森県教育庁文化財保護課文化財保護主事、国際教養大学助教・准教授を経て2021年より現職。著書に『東北地方北部における縄文/弥生移行期論』(雄山閣、2020年)、『縄文と世界遺産』(筑摩書房、2022年)ほか。
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