現代は言葉の価値が蔑ろにされる一方で、言語化の重要性も意識されています。言葉が巧みでも、交流が実り豊かとは限らず、言葉がうわすべりしたり、意味が分かるほど自己疎外が深まったりします。 理解とは言葉にすることで実現するとしても、その言葉を追究すると、自分で自分を分かっていないことにも気づきます。そこで自己理解や相互理解のため、改めて言葉の価値に着目しましょう。言葉の記号活動が理念を生み、自己を高め、他者との交流を深める。 本講座はそのヒントを文藝に探ります。なぜ俵万智さんの短歌が多くの人の心に残るのか。なぜ村上春樹さんの表現が面白いのか。それらは、作者や登場人物あるいは読者の生き様をどう反映するのか。そこに生きる他の誰でもない固有の生が宿る瞬間を「述語」にとらえてみたいと思います。言葉の意味を広げ深める技法は、まず自分を言葉でケアすることで、生きるに値する世界、自分ならではの意味を構築する手助けになるでしょう。(講師記) ※参考図書:講師著「僕たちは言葉について何も知らない」(NewsPicksパブリッシング、2025年4月)
小野 純一:1975年群馬県生まれ。自治医科大学医学部総合教育部門哲学研究室准教授。専門は哲学・思想史。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。ベルギー・ゲント大学研究員、東洋大学客員研究員などを経て現職。著作に「井筒俊彦-世界と対話する哲学」(慶応義塾大学出版会)など。
・資料配布予定 ※参考図書:講師著「僕たちは言葉について何も知らない」(NewsPicksパブリッシング、2025年4月)
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