広大な裾野をもつ柳田国男の学問は、「日本人とは何か」という大きな課題から、私たちの何気ないしぐさの根源がどこにあるのかといった素朴な疑問までを包み込んでいます。私は、「柳田国男年譜」作成の過程で、柳田学を「謎解きの学問」と位置づけることに意味を見つけました。そして、『遠野物語』こそ、その「謎解き」の原点の書だと確信しました。 日本民俗学の源流の書とも言われた『遠野物語』は、今や古典読み物になっています。本講座では、一年かけて、そこに潜んでいる現代に通じるような「謎」を丁寧に読み進めて解いていきます。苦手意識をもち、頁を開かなかった方も、愛読書として何度も読み進めている方も、何気ない疑問や謎のなかに、柳田学や日本人論に繋がる大きなヒントが隠されていること気づく楽しさを共有していただければ幸いです。ぜひいらしてください。 お待ちしています。(講師・記) ≪今期テーマ≫ 1回 4月2日 柳田国男が『遠野物語』に託した願い―以前と以後の柳田国男をなぞって― 2回 5月7日 『遠野物語』の構成―「原本 遠野物語」の読み方― 3回 6月4日 山人・山男と神隠しの話を読む―「サムトの婆」と「マヨヒガ」の話― ≪今後の予定≫ 4回 7月 ザシキワラシの話を読む―佐々木喜善と宮澤賢治につなぐー 5回 8月 河童の話を読むー遠野の河童は妖怪ではないー 6回 9月 魂の行方の話を読む@―本当に幽霊がでたのかー 7回 10月 柳田国男の少年体験と『遠野物語』―母親殺しの人生苦― 8回 11月 「聴き做し」の小鳥前生譚を読むー柳田の愛鳥趣味のゆくえー 9回 12月 熊と狼の話を読むー今西錦司や梅棹忠夫への柳田国男の眼差しー 10回 1月 魂の行方の話を読むA―今につながる99話を残した柳田国男の思いー 11回 2月 名文と言われる「序文」を読むー「平地人」とは誰かを考えながらー 12回 3月 オシラサマの話を読むー謎が謎をよぶ未知の世界へー
小田 富英:(おだ・とみひで)東京学芸大学卒。36年間東京都公立小学校教員を勤めた後、作新学院大学特任教授を経て、現在、『柳田國男全集』編集委員、日本地名研究所理事、『地名と風土』編集長、遠野文化研究センター研究員、常民大学運営委員、『遠野物語』で交流を楽しむ会(『遠野物語』交流楽会)代表など。 編著:『柳田國男全集』別巻T「年譜」(筑摩書房)、『柳田國男自筆 原本 遠野物語』(岩波書店)、共著:『柳田国男伝』(三一書房)、『口語訳 遠野物語』(河出文庫)、『犯罪の民俗学 2』(批評社)、『わいわい学級』(現代書館)、『地域に根ざす民衆文化の創造―「常民大学」の総合的研究』(藤原書店)など。論文:「初稿本『遠野物語』の問題」(『国文学』)、「柳田国男おじいさんのメッセージ」(『毎日小学生新聞』連載)、「平地人とはだれか」の三回連載(『伊那民俗研究』『遠野学』)、「『遠野物語』と遠野郷民俗誌の間」(『地名と風土』第13号)、「新渡戸稲造と柳田国男」(『新渡戸稲造の世界』第28号)、「柳田国男ゆかりの富山の土地と人」(『地名と風土』第14号)、「柳田国男年譜作成の現場から」(『日本古書通信』1101号〜1103号)「柳田学と後藤民俗思想史をつなぐ」(『伊那民俗研究』第29号)、「谷川健一と後藤総一郎」(『地名と風土』第15号)、「柳田国男ゆかりの越前・若狭の土地と人」(『地名と風土』第16号)、「謎解き 原本 遠野物語」(『現代思想』第50巻第8号、2022年7月臨時増刊号)「日本文化研究の一隅に地名の柱をー柳田国男の地名研究の「揺らぎ」に学ぶー」(『地名と風土』第17号)「「柳田国男年譜」作成後の今、考えていること」(『常民大学紀要13 常民大学と地域文化』2024年8月)など多数。
当日資料を配布します。
Zoomウェビナーを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(2週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはyk9yokohama@asahiculture.comで承ります。