英国で初めて郵便切手の肖像になった作曲家、それがレイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(Ralph Vaughan Williams, 1872〜1958)である。ドイツ音楽の強い影響下にあった英国において、ヴォーン・ウィリアムズは各地に残る民謡、中世イングランドの多声音楽、豊潤な文芸の伝統に創作の源泉を求め、独自の国民音楽を作り上げた。生物学者チャールズ・ダーウィンや陶磁器のウェッジウッドの家系という恵まれた環境に生まれ育ったが、第1次世界大戦に志願衛生兵として出征し、砲煙弾雨の下、 身を挺して傷病者の救護にあたり「ノブレス・オブリージュ」を実践した。 85歳で亡くなる直前まで作曲を続け、ベートーヴェンと同じく個性豊かな9曲の交響曲を残し、英国音楽の「老大人」(Grand Old Man)と呼ばれて英国民の敬愛を集めた。本講義では、19世紀末から20世紀前半の英国の社会文化の中にヴォーン・ウィリアムズを位置付けつつ、その多彩な魅力をお伝えしたい。(講師:記) 画像:ヴォーン・ウィリアムズ 生誕100年記念切手(1972)
等松 春夫:とうまつ・はるお 1962年米国パサデナ市生。防衛大学校国際関係学科教授。専攻は政治外交史・比較戦争史。1991〜97年に英国留学。オックスフォード大学博士(政治学・国際関係論)。NATO国防大学ディプロマ取得。英国のエルガー協会とホルスト協会の会員。英国音楽を中心に楽譜や楽曲の解説を多数執筆。「政治と音楽の関係」を研究している。主要著書『日本帝国と委任統治』(名古屋大学出版会2011)。主要訳書H.P.ウィルモット『大いなる聖戦:第二次世界大戦全史』(国書刊行会2018)、J.ストウシンガー『なぜ国々は戦争をするのか』(同2015)
筆記用具
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