弘法大師空海(774-835)は、「お大師さま」として民衆の信仰を集めてきました。しかし真言宗による伝記では、空海は天皇や公卿の権威に癒着して、東寺や東大寺などの大寺院を密教化し、真言宗を打ち立てた政治的手腕に長けた「やり手」として描かれており、空海と民衆の繋がりが見えてきません。 この講座では空海の筆頭弟子だった実恵(786−847)による、史的に最古で、最も信頼性の高い空海伝記を手がかりとして、空海の伝記を見直し、彼が常に民衆一般に利益を与えるために密教を実践していた史実とその思想を浮き彫りにします。(講師記) <講座のカリキュラム> ◆5/12 空海の伝記を見直す 史実に基づいて空海の伝記を見直し、空海が地方や中央の数万の民衆に密教の入門儀礼である灌頂を授けて、師弟の関係を結んでいたこと、民衆の幸福を第一に仏教者として活動することが、空海の師恵果の遺言に沿った行為だったことを明らかにします。 ◆5/19 空海が体験したマンダラの世界 空海の密教の原点であるマンダラとは何かを、マンダラが伝える物語に沿って解説します。空海は代表作である『十住心論』を、言葉で綴ったマンダラとして著作しました。言葉で描かれたマンダラとは何なのか、それが空海の思想をどう示しているのかを明らかにします。 ◆5/26 マンダラの理想を実現 空海は、大悲のネットワークとしてのマンダラの思想を民衆の幸福を増進するために実践しました。その例として、讃岐地方の満濃池の大規模な修復を、四国の大地にマンダラを描き出す宗教行為として、また彼が史上初めて作った民衆一般に門戸を開いた学園(綜芸種智院)を、マンダラの思想に裏付けられた教育の実践として考えます。 ★本講座は講師はオンライン登壇です。教室でのご受講もございません。
阿部龍一:東京都生まれ。慶應義塾大学経済学部卒(経済史)。ジョンズ・ホプキンス大学上級国際関係論研究所(SAIS)修士(国際関係論)。コロンビア大学宗教学部哲学修士、同大学哲学博士。同大学宗教学部准教授、宗教学部長を経て、現在、ハーバード大学東アジア言語文化学部教授。
★オンライン講座(Zoomウェビナー使用)です。見逃し配信(2週間限定)はマイページにアップします。お問合せはyk9yokohama@asahiculture.comで承ります。 ★講師はオンライン登壇です。教室受講はできません。