16世紀、ポルトガルの航海者が東アジアのいまだ未知の海に浮かぶ緑豊かな島を間近に眺めて発したひとこと「Ilha formosa!」(イーリャ・フォルモーサ=美しい島!)。この五百年前の「声」の残存が、いまや台湾の内部から、あらたにこの島のアイデンティティを想像するための鍵になる言葉となって再浮上しつつある。「フォルモーサ」というポルトガル語は、すでに植民地時代の国家的な規定を離脱して、世界に起こるさまざまな流動と混交の現象を象徴する新しい意味を獲得しようとしている。昨年台湾に住んだ9ヶ月の経験をもとに、この多義的なフォルモーサから「世界」をまなざす新たな視点を提示したい。それは地政学と地経学の視点に縛られた現在の「台湾有事」といった紋切り型の論点を、はるかに開けたダイナミックな「叛-地政学」のヴィジョンへと誘うだろう。(講師・記) (1)クレオールの島・台湾 (2)台湾から世界の「歴史」と「地図」を相対化する (3)ルゾフォニアの群島へ リスボン、マラッカ、マカオ、台湾、長崎
今福 龍太:いまふく・りゅうた 文化人類学者・批評家。奄美自由大学主宰。詩誌『KANA』同人。著書に『ミニマ・グラシア』『薄墨色の文法』(岩波書店)『レヴィ=ストロース 夜と音楽』、『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』(みすず書房)『宮沢賢治 デクノボーの叡智』(新潮選書)『ぼくの昆虫学の先生たちへ』(筑摩書房)など多数。主著『クレオール主義』『群島-世界論』を含む著作集《パルティータ》(全五巻、水声社)が2018年に完結。
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