カトリック教会のような宗教制度では教義の正邪は教皇のような最高権威者が決定権をもつので、正統と異端がわかりやすい。イスラームではそのような権威者をもたない流れが多数派を占めており、正統と異端の峻別が行われにくい。多くの学者が採用する見解が政治権力と結びついて「正統」として扱われ、それ以外の見解が「異端」として排除されることはある。だがその「異端」がイスラーム共同体の辺縁部で存続することもある。イスラームの歴史のなかで展開した諸派をめぐる正統/異端の二項対立的理解の可能性を考えたい。(講師・記)
鎌田 繁:東京大学名誉教授 1951年東京生まれ。東京大学文学部卒。同大学院宗教学宗教史学専門課程及びマッギル大学イスラーム学研究所(カナダ)で学ぶ。東京大学東洋文化研究所教授を経て、現在は東京大学名誉教授。専門はイスラーム思想(とくに神秘思想、シーア派研究)。著書に『イスラームの深層―「遍在する神」とは何か』NHK出版の他、近年の論考は以下に収載されている。『東大塾 現代イスラーム講義』東京大学出版会(長沢栄治・後藤絵美編 2023 年)、『井筒俊彦の東洋哲学』慶應義塾大学出版会、『身心変容のワザ?技法と伝承』サンガ、『井筒俊彦とイスラーム』慶應義塾大学出版会、『宗教の壁を乗り越える』ノンブル社、『イスラームの神秘主義と聖者信仰』東京大学出版会、『グローバル時代の宗教間対話』 大正大学出版会 、『岩波講座宗教4根源へ 思索の冒険』岩波書店、『アジア学の将来像』東京大学出版会、『講義 宗教の「戦争」論』鈴木董[編]山川出版社。
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