1995年、日本社会は二つの決定的な出来事を経験した。一つは、誰もがコンピューターの可能性を身近に感じた「Windows95」の発売であり、もう一つは、人間の闇と集団の狂気が可視化された「オウム真理教による地下鉄サリン事件」である。情報化社会の幕開けと、科学技術を背景にしたカルト集団の暴走という「光」と「闇」が同時に現れたこの年は、現代日本の出発点でもあった。 それから三〇年を経た現在、私たちは「AI社会」という新たな転換点に立っている。AIが社会のあらゆる領域に浸透し、情報や真実のあり方そのものが根底から揺さぶられている。私たちは今、何を信じ、どのように判断の基準を定めるべきなのかが問われている。 本鼎談では、この決定的な「1995年」を起点に、現代社会が抱える根源的問題を、社会学・哲学・宗教学の三つの視点から検討する。情報と信頼の危機が日常化した今日、三〇年前の二つの出来事が示したメッセージを改めて読み解き、AI社会を生き抜くための人間固有の「信」のあり方を探究する。(黒崎講師・記)
大澤 真幸:社会学者 1958年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。著書に『虚構の時代の果て』(ちくま新書)、『恋愛の不可能性について』(春秋社)、『電子メディア論―身体のメディア的変容』(新曜社)、『戦後の思想空間』(ちくま新書)、『<不気味なもの>の政治学』(新書館)、『ナショナリズム論の名著50』(平凡社)、『文明の内なる衝撃』(NHKブックス)、『自由を考える』(共著・NHKブックス)、『ナショナリズムの由来』(講談社)、『逆説の民主主義』(角川書店)、『不可能性の時代』(岩波書店)、『<自由>の条件』(講談社)など多数。 公式サイト http://osawa-masachi.com/
黒崎 政男:1954年仙台市生まれ。哲学者。東京女子大学名誉教授。東京大学大学院博士課程(哲学)満期修了。専門はカント哲学。 人工知能、電子メディア、カオス、生命倫理など現代的諸問題を哲学の角度から解明している。NHK Eテレ「サイエンスZERO」(2003-12年)やNHK BS2「熱中時間〜忙中“趣味”あり〜」(2004-10年)にレギュラー出演するなど、テレビ、新聞、雑誌など幅広いメディアで活躍。著書に『今を生きるための「哲学的思考」』(日本実業出版社)、『身体にきく哲学』(NTT出版)、『デジタルを哲学する』(PHP新書)、『カント「純粋理性批判」入門』(講談社選書メチエ)、『哲学者はアンドロイドの夢を見たか』(哲学書房)など多数。
島田 裕巳:しまだ・ひろみ 1953年東京都生まれ。宗教学者、作家。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、東京通信大学非常勤講師を歴任。著書に『葬式は、要らない』『創価学会』『日本の10大新宗教』『神道はなぜ教えがないのか』『戦後日本の宗教史:天皇制・祖先崇拝・新宗教』『「日本人の神」入門』『宗教の地政学』『神社崩壊』『新宗教 戦後政争史』等多数。
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