2011年のノーベル物理学賞は宇宙の加速膨張の発見に対して、アメリカのパールムッター氏、オーストラリアのシュミット氏とリース氏の3名に贈られました。その加速膨張を引き起こす原因が、宇宙に満ち満ちているとされるダークエネルギーだと考えられています。最近、銀河サーベイ観測DESIにより、時間変化するダークエネルギーの兆候が報告されました。ダークエネルギーとは何なのでしょうか?その最新の進展を第一線で活躍する研究者が解説します。(郡和範先生) 画像:宇宙の加速膨張の様子 ©国立天文台・科学研究部 <各回のテーマ> @1/24「ダークマターとダークエネルギー―ついに動くダークエネルギー発見か?」KEK高エネルギー加速器研究機構教授・松原隆彦さん 宇宙を構成する謎の成分には、ダークエネルギーの他にも正体不明の物質であるダークマターもあります。ダークエネルギーとダークマターの概略をその違いも含めて紹介し、研究の現状やどうすれば正体を探れるのか、などについて解説します。さらに最近の観測が示唆するダークエネルギーの奇妙な振る舞いの兆候についても紹介します。 A2/28「ダークエネルギーの観測と理論--ダークエネルギーの起源は何か?」早稲田大学教授・辻川信二さん 1990年代後半、遠方の超新星観測によって宇宙が加速しながら膨張していることが発見されました。その原因とされるダークエネルギー は、いまなお正体不明の謎に包まれています。本講演では、その起源に迫る最前線の研究を、観測と理論の両面から紹介します。 B3/28「ダークエネルギーをすばる望遠鏡で観測する―すばるPFSとは何か?―」東京大学・カブリIPMU教授・高田昌広さん C4/25「ダークエネルギーと素粒子物理学―ダークエネルギーは新しい素粒子か?」名古屋大学特任助教・寺田隆広さん すべての物質は素粒子からできています。では、ダークエネルギーは何からできているのでしょうか。第4回では、「場」という概念を手がかりに、ダークエネルギーの正体を素粒子の新しいかたちとして説明する考え方を紹介します。対称性の破れや量子重力の理論が示すヒントにも触れ、素粒子物理の視点からダークエネルギーについて語ります。 D5/23 「ダークエネルギーと宇宙の運命―加速膨張する宇宙とその未来:ビッグクランチ、ビッグリップ」日本大学教授・千葉剛さん 最近の天文観測により、宇宙は現在加速膨張していることが明らかになってきました。宇宙の加速膨張を引き起こすもととなるエネルギーはダークエネルギーと呼ばれています。銀河を作るもととなるダークマターと同様、ダークエネルギーの正体は全く不明です。本講演では、ダークエネルギーの正体を探る研究の動向を交えながら解説します。また、われわれの宇宙が将来どのような姿になるのかについてもあわせて紹介します。 E6/6 「動くダークエネルギーの発見の意義―シリーズのまとめ」国立天文台教授・郡和範さん 時間変化するダークエネルギーの正体は何なのか?最新の素粒子論と重力理論からその謎に迫ります。特に、力の統一理論やアインシュタイン重力を越える新理論のヒントについて解説します。シリーズ最終回として、シリーズ全体のまとめの解説を行います。
郡 和範:こおり・かずのり 国立天文台教授 1970年兵庫県生まれ。2000年、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。2004年、米ハーバード大学博士研究員。2006年、英ランカスター大学 研究助手、2009年、東北大学大学院助教、2014年、高エネルギー加速器研究機構准教授などを経て、現職。また、高エネルギー加速器研究機構・総合研究大学院大学・東京大学カブリIPMUの教員も兼任。研究内容は、宇宙論・宇宙物理学の理論研究 (キーワード:ビッグバン元素合成、バリオン数生成、インフレーション宇宙論、ダークマター、ダークエネルギー、ニュートリノ、ブラックホール、重力波、宇宙線など)。著書に『宇宙物理学(KEK物理学シリーズ3)』(共立出版)、『宇宙はどのような時空でできているのか』『「ニュートリノと重力波」のことが一冊でまるごとわかる』(ベレ出版)などがある。
松原 隆彦:KEK高エネルギー加速器研究機構、素粒子原子核研究所教授 博士(理学)。京都大学理学部卒業。広島大学大学院博士課程修了。東京大学、ジョンズホプキンス大学、名古屋大学などを経て現職。主な研究分野は宇宙論。2012年度日本天文学会第17回林忠四郎賞受賞。著書に『現代宇宙論』(東京大学出版会)『宇宙に外側はあるか』(光文社新書)『宇宙の誕生と終焉』(SBクリエイティブ)『世界の仕組みを物理学で知る』(山と渓谷社)『なぜか宇宙はちょうどいい』(誠文堂新光社)『宇宙とは何か』(SB新書)ほか多数がある。
辻川 信二:つじかわ・しんじ 早稲田大学教授 1996年東京大学理学部卒業。2001年早稲田大学大学院物理学及応用物理学専攻修了。博士(理学)。2008年東京理科大学理学部第二部物理学科准教授、教授を経て、2020年早稲田大学先進理工学部物理学科教授。著書として、Dark Energy: Theory and Observations(Cambridge University Press)、『入門 現代の宇宙論 』(サイエンス社)などがある。
高田 昌広:たかだ・まさひろ 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構教授 1973年生まれ。東北大学理学部卒。同大学院理学研究科修了。東北大学、国立天文台で学術振興会特別研究員、米ペンシルヴァニア大学での研究員、東北大学理学研究科助教、東京大学高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構特任准教授を経て、現在同研究所教授。専門分野は天文学、観測的宇宙論。著賞に『宇宙のしくみ』(学研、共著)がある。見えないはずの暗黒物質を「見る」方法を開発し、すばる望遠鏡等で実際に暗黒物質を「見た」功績で、日本天文学会研究奨励賞を受賞。
寺田 隆広:てらだ・たかひろ 名古屋大学特任助教 1987年神奈川県生まれ。2015年、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。2017年、日本学術振興会特別研究員、2019年、韓国基礎科学研究院等を経て、現職。また、理化学研究所客員研究員も兼任。研究内容は、宇宙論・素粒子論の理論研究。2017年に素粒子メダル奨励賞、2025年に中村誠太郎賞を受賞。
千葉 剛:ちば・たけし 日本大学教授 1967年生まれ。京都大学理学部卒業。京都大学基礎物理学研究所研究員、京都大学大学院助手等を経て、2009年より日本大学文理学部教授。博士(理学)。専門は宇宙物理学。研究テーマは重力理論と宇宙論。著書に『宇宙を支配する暗黒のエネルギー』(岩波書店)、「相対論と宇宙の事典」(分担執筆)(朝倉書店)などがある。
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