心理臨床において、哲学の考え方はどのように活かせるのか? これが本講座のテーマです。心理療法の創始者たちは、自らの理論を説明する際、特定の哲学的立場を表明したり、独自の人間論を語ってきました。人間の心を対象として心理療法やカウンセリングを行う以上、人間理解は欠かせないからです。しかし、各々の心理療法は人間観の違い、哲学的背景の違いによって、理論的な対立を繰り返し、そのことが心理療法の共通原理を解明することを妨げてきました。そのため、心を癒し、治すための原理がはっきりしないまま、多様な理論と技法が増え続けています。 この講座では、実存主義、構成主義、ポストモダンなど、心理療法の背景にある哲学に触れた上で、「本質を考える」という哲学本来の観点から、人間性の本質、心理療法の本質を考えていきます。現象学の本質観取によって、人間のあり方を規定している欲望、不安、承認欲求、自由、無意識、共感、対話の本質を明らかにできれば、人は何を求め、何を怖れているのか、なぜ心は病んでしまうのかがわかると思います。そして、どうすれば癒され、自由に生きていけるのか、その道すじが見えてくるのではないでしょうか。本講座では、こうした問題をみなさんと一緒に考えていきたいと思います。(講師・記)全6回 【各回テーマ】 1.1/17 人間とはどのような存在か? ― 心理療法の人間観、人間理解と現象学 2.2/21 認められたいから自由を捨てる? ― 自由と承認の葛藤、ヘーゲルの人間論 3.3/21 自由な人間になるための条件 ― 「自由の主体」の哲学、子どもの成長と自由 4.4/18 不安を避けると心は病むのか? ― フロイトの不安論、精神病理の哲学 5.5/16 無意識を知ると心は治るのか? ― 無意識とは何か、ハイデガーと自己理解 6.6/20 共感と対話で心は治るのか? ― 共感とは何か、対話の効果、癒しの原理 ※必要な資料は教室にて配布します。 ※講義内容は、進行具合によって若干変更する場合があります。
山竹 伸二:1965年、広島生まれ。著述家。評論家。桜美林大学非常勤講師。専門は現象学、精神分析、心理療法論、ケア論。著作に『「認められたい」』の正体』(講談社現代新書)、『子育ての哲学』(ちくま新書)、『本当にわかる哲学』(日本実業出版)、『「本当の自分」の現象学』『「本(NHKブックス)、『心理療法という謎』(河出ブックス)、『こころの病に挑んだ知の巨人』(ちくま新書)、『ひとはなぜ「認められたい」のか』(ちくま新書)、『共感の正体』『共感の正体』(河出書房新社)、『無意識の正体』(河出書房新社)、『ほんとうのフロイト』『ほんとうのフロイト』(筑摩選書)。
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