ドストエフスキーの文学は思想犯としてのシベリア生活を挟んで、一見、初期と中後期にわかれるように見えます。しかし実際には、初期、1840年代の作品の構想の多くは1860年代以後に受け継がれ、成熟度を増した形で読者のもとに帰ってくることになりました。初期の恋愛小説『女主人』もそうした作品です。実は発表当時、この小説の評価は芳しくなく、むしろ作家の名声を傷つけるものとされ、原因のひとつは内容の不可解さにありました。 本講では『女主人』に描かれた愛のドラマの謎を、ドストエフスキー文学の要である『地下室の手記』への継承、という視点から読み解いていきます。 (講師・記) <各回予定テーマ> 第1回:ニーチェが出会った『女主人』と『地下室の手記』 第2回:「地下生活」から生まれる愛の幻想 第3回:『地下室の手記』における第1部の意味と役割 ・・・・
金沢 美知子:かなざわ・みちこ 東京大学名誉教授 東京大学教養学部教養学科卒。同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。主な仕事に『可愛い料理女、18世紀ロシア小説集』(彩流社)、『ロシア語T』(放送大学)、『ロシア文学』(共著、放送大学)、『18世紀ロシア文学の諸相』(編著、水声社)等。専門は18、19世紀のロシア文学・文化。
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