日本生まれのイギリスの小説家、Kazuo Ishiguroは1954年長崎市に生まれる。幼少時は長崎で育つが、1960年に両親と共にイギリスに移住。1974年ケント大学英文科へ、1980年イースト・アングリア大学大学院創作学科に進み小説活動を始めた。1982年、処女作『遠い山なみの光』(Faber and Faber社より出版)で彗星のごとく現れ王立文学協会賞を受賞、第3作『日の名残り』(1989年)で英語圏最高の文学賞・ブッカー賞を受賞。その後、ノーベル文学賞を受賞(2017年)した小説家。 『日の名残り』の小説手法の萌芽を見るような、英国に在住する長崎女性・悦子の回想を語り口とした幻想的、かつミステリアアスに描いた女の心理や情緒の起伏を子供・若い女性・成熟した女に投影し物語を進めていく。時を交錯させ、長崎やイギリスなどロケーションとシーンを自由に往き来させながら精緻に描写していく筆使いは見事である。淡々と愛や死などを日常生活の中に潜伏させその深淵を読者に覗かせる作品は、まさに「日本的」とか「能面の世界」という批評を感じさせる。精読の愉しい時間を共に味わいましょう。(講師記) ※2026年1月講読開始。進捗状況はお問合せください。辞書を引きながらでも読める方が対象です。
井上 美沙子:大妻女子大学名誉教授 大妻女子大学名誉教授。日本女子大学文学部英文科卒。西脇順三郎に師事し日本女子大学大学院修士課程修了。日本女子大学助手、お茶の水女子大学、早稲田大学等の非常勤講師を経て、大妻女子大学短期大学部教授及び学部長に就任。2011年より大妻中学高等学校校長に就任。2017年より大妻女子大学副学長に就任。19世紀英文学専攻。主な著書に『ヴィジョンと現実』(中央大学出版部1997年)、『1990年代のイギリス小説』(金星堂1999年)、『ロマン主義の射程』(八潮出版2001年)、『埋もれた風景たちの発見』(中央大学出版部2010年)、主な訳者に『ラフカディオ・ハーン著作集』(恒文社1987年)、『聖書の視座から人間の経験をよむ』(すぐ書房1998年)、『ギフト−エロスの交易』(法政大学出版2002年)、『近代を編む』(中央大学出版部2021年)などがある。
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