ファン・ゴッホは主に色彩豊かなアルル時代の風景画などで人気を博しています。しかし、その心の奥には深い宗教的情熱を秘め続けていました。彼は牧師の息子として生まれ、その少年時代をオランダの牧師文化、牧師たちが美術も論じていた文化にどっぷりと浸かって過ごしました。画家になる前には自身も牧師になることを切望しましたが、念願叶わず、いわば宗教を重く引きずったまま画家になったのです。画家になってからは教会や牧師を批判するようになり、宗教的主題は避けて自然のモティーフを描きます。それでも彼は時折「切実に〈宗教〉の必要を感じることがあり」、作品の中に様々な形で「宗教」を潜ませます。 本講座ではまずファン・ゴッホを育てた牧師文化がどのようなものだったのかをご紹介し、次いで、教会、太陽、ひまわり、掘る人、日本のモチーフ、星空といった主題群が全作品の中でどのように関わり合っていたのかを解明します。全作品の中に潜む主題系の分析を通じて、ファン・ゴッホの全画業が「自然」と「宗教」の壮絶な闘争であったことを明らかにします。(講師・記) ■1月期テーマ オランダ牧師文化のインパクト 教会と太陽 モティーフの置き換え ひまわり 信仰心と愛の象徴 ■4月期テーマ 掘る人 楽園追放のテーマ 想像の日本 ユートピアの住人としての日本人 星月夜 自然と宗教の壮絶な闘争 参考文献 ■圀府寺司著[『ファン・ゴッホ 自然と宗教の闘争』2009年 (小学館)](https://www.shogakukan.co.jp/digital/093877390000d0000000) ■圀府寺司著[『もっと知りたいゴッホ』改訂増補版 2025年(東京美術)](https://www.tokyo-bijutsu.co.jp/np/isbn/9784808713355/) 画像クレジット: フィンセント・ファン・ゴッホ 《画家としての自画像》 1887年12月-1888年2月 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation) ■展覧会情報■ ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢 [ 大阪展 ] 2025年7月5日(土)〜8月31日(日) 大阪市立美術館 ※終了 [ 東京展 ] 2025年9月12日(金)〜12月21日(日) 東京都美術館 [名古屋展] 2026年1月3日(土)〜3月23日(月) 愛知県美術館 [公式サイト](https://gogh2025-26.jp/)
圀府寺 司:こうでら・つかさ 大阪大学名誉教授。大阪大学文学部卒、アムステルダム大学美術史研究所・修士、博士。オランダ・エラスムス財団よりエラスムス研究賞受賞。主要著書:『ユダヤ人と近代美術』、『ああ、誰がシャガールを理解したでしょうか?』(編著)、『西洋美術研究4 特集・美術史とユダヤ』(編著)、 Vincent van Gogh: Christianity versus Nature (『ファン・ゴッホ 宗教と自然の闘争』小学館)、The Mythology of Vincent van Gogh (『ファン・ゴッホ神話』編著 テレビ朝日)、Van Gogh & Japan (『ファン・ゴッホと日本』共編著 青幻舎)、『ファン・ゴッホ生成変容史』(三元社)ほか、訳書に『ファン・ゴッホの手紙 I・II』(新潮社) がある。
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