映画は、それが作られた「時代」を「保存」してくれています。もちろん、これは映画に限らず、小説でも同じですが、やはり映画は情報量が多いため、「時代」を「保存」するという要素がとくに強く表れていると言えます。ここでいう「時代」は、スクリーンに映し出された俳優の顔、風景(それがセットであっても、そのセットのつくり方)、撮り方、あるいは物語構造(脚本)などを通して表れます。 では、昭和呼ばれる時代に作られた映画は、いったいどのようにしてその時代を表しているのでしょうか。この広義では、いわゆる名作映画を手がかりにして、昭和という時代を手繰り寄せたいと思います。(講師:記) 第1回:『七人の侍』(1954) 『七人の侍』は黒澤明の代表作であると同時に、1950年代の日本映画を代表する作品だと言えます。仲間を増やしていくというエンターテイメントの定石に沿った前半部と、侍たちの戦いが見せ場の後半部は、現在もなお人びとを惹きつける魅力があります。この作品はこれまでにさまざまに論じられてきましたが、レクチャーでは1950年代という時代背景に留意しながら、論じていきます。 第2回:『博奕打ち 総長賭博』(1968)に代表される任侠映画 『博奕打ち 総長賭博』は、監督・山下耕作監督の代表作であると同時に、脚本家・笠原和夫の代表作でもあります。他の作品以上に、任侠映画と呼ばれるジャンルの要素を凝縮したところがあり、その作劇構造は幅広い観客が自身を投影できる懐の深さがありました。この作品もやはり――三島由紀夫の評価をはじめとして――広く論じられてきましたが、1960年代という時代を考える手がかりとして、扱いたいと思います。 第3回:『風の谷のナウシカ』(1984) アニメーションもまた、時代を映す鏡です。宮崎駿はこの作品の設定――火の七日間、風の谷、腐海――に、とてもわかりやすい形で、核の冬(核戦争後の気候変動)を取り入れ、エコロジー思想やフェミニズム思想を託していると言えます。原作マンガとは異なる結末部をどのように評価するのかという問題はありますが、そのあたりも含めて、論じたいと思います。 ※各回ごとのお申し込みも可能です。
山本 昭宏:神戸市外国語大学准教授。1984年、奈良県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。文学(博士)。主著に『大江健三郎とその時代』(人文書院、2019年)、『戦後民主主義』(中公新書、2021年)、『変質する平和主義』(朝日新聞出版、2024年)など。
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