公孫康が太守に就任した204年頃とされる帯方郡の分置と時を同じくし、纒向遺跡には、纒向石塚・ホケノ山・東田大塚などの80〜100m級の纒向型古墳が築造されます。特にホケノ山古墳では、石囲木槨から画文帯神獣鏡をはじめとする遺物が出土し、箸墓古墳に先行する王墓と考えられます。その一方、纒向遺跡内の纒向型古墳には、箸墓古墳よりも築造時期が新しいと考えられるものが含まれており、石野博信先生は伝説的な始祖の王統を実体化し、祖先祭祀を行うために擬古的な王陵を築造した可能性を指摘されています。 この講座では、纒向型古墳や木槨、画文帯神獣鏡をはじめとする中国鏡の分有関係から卑弥呼即位前後の倭国の状況を考えるとともに、後世に架上されたと考えられる「欠史八代」と、擬古王陵説との関係についても考えます。また、併せて呉の考古学について解説します。
桃ア 祐輔:福岡大学人文学部歴史学科教授 1967年(昭和42年)3月12日生まれ。福岡大学人文学部教授(考古学) 福岡県福岡市出身 筑波大学大学院歴史・人類学研究科文化人類学専攻を単位取得退学。東京国立博物館事務補佐員、筑波大学助手を経て2004年に福岡大学に着任。2018年に中国社会科学院考古研究所・吉林大学・西北大学で1年間の在外研究に従事。ユーラシア騎馬文化・中近世仏教考古学が専門で「中世とは何か」の解明をめざす。 主な著作に「高句麗太王陵出土瓦・馬具からみた好太王陵説の評価」(『海と考古学』2005)、「七支刀の金象嵌銘技術にみる中国尚方の影響」『文化財と技術 4』2005)、「中世棒状鉄素材に関する基礎的研究」(『七隈史学』第10号)、「九州の屯倉研究入門」(『還暦、還暦?、還暦!』2010)、「九州出土子持勾玉研究入門」(『福岡大学考古学論集2』2013)、桃崎祐輔「騎馬文化の拡散と農耕文明との融合−江上騎馬民族征服王朝説が描く文化融合モデルとその今日的意義−」(『今、騎馬民族説を見直す』2014)「山の神古墳出土馬具の検討―2セットのf字形鏡板付轡・扁円剣菱形杏葉の年代とその意義―」(『山の神古墳の研究』2015)「金属容器」(『モノと技術の古代史 金属編』2017)「英彦山信仰遺跡と遺物からみた英彦山の歴史」(『英彦山の宗教民俗と文化資源』2017)など
筆記用具をお持ち下さい。
Zoomウェビナーを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(2週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはfk9asacul@asahiculture.comで承ります。※資料は、講座開始1時間前のアップを予定しています。ご了承下さい。