「倭寇」は16世紀、日本史と世界史との接点です。日本史の研究は「倭寇は日本人主体ではない」と立証してきましたが、では「倭寇」とはいったい何者だったのでしょう。グローバルな視点から中国史の長期的な変動をとらえなおして、その問いに迫ります。歴代の中国王朝の政策・体制と、民間社会で実際に営んでいた経済・生活とをさぐり、摩擦が高まってくる情況をとらえて、日本列島からシナ海域・中国大陸にひろがる国際関係を解き明かします。これは当時の「倭寇」という昔話ばかりでなく、じつに今日までの中国史にもつながってくる主題でもあるのです。(講師・記)
岡本 隆司:おかもと たかし 早稲田大学教授 1965年生。神戸大学卒業、京都大学大学院博士課程満期退学。博士(文学)。宮崎大学助教授、京都府立大学教授を経て現職。専攻は近代アジア史。著書は『近代中国と海関』(名古屋大学出版会・大平正芳記念賞受賞)、『属国と自主のあいだ』(名古屋大学出版会・サントリー学芸賞受賞)、『李鴻章』『袁世凱』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理』(中公新書)、『中国の誕生』(名古屋大学出版会・樫山純三賞、アジア太平洋賞受賞)、『清朝の興亡と中華のゆくえ』(講談社)、『世界史序説』(ちくま新書)、『増補 中国「反日」の源流』(ちくま学芸文庫)、『君主号の世界史』(新潮新書)など多数。反響をよんだ岩波新書「シリーズ中国の歴史」(全5巻)を企画し、最終巻『「中国」の形成 現代への展望』を執筆した。近著に「倭寇とは何か―中華を揺さぶる「海賊」の正体」。2025年紫綬褒章受章。
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