『死を与える』の主人公は聖書創世記のアブラハムです。この「信仰の騎士」に神は最愛の息子を自分に捧げよと命じます。倫理を超えるこのような宗教的試練をどう考えるべきか。他者、秘密、責任、決断の経験とはどんなことか。この経験はなぜ人を戦慄させるのか。ヨーロッパの歴史と文学はこの戦慄とどんな関係があるのか。キルケゴール、カフカ、メルヴィル、パトチカと対話するデリダとともに、これらの問いを解きほぐしていきます。 @ はじめに −『死を与える』はどんな本か A 信仰の問い−キルケゴール『おそれとおののき』 B ヨーロッパの問い−ヤン・パトチカ『歴史哲学についての異端的論考』 C 応答の問い−メルヴィル『書記バートルビー』 D 秘密の問い−カフカ『父への手紙』 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
鵜飼 哲:(うかい・さとし) 1955年生。一橋大学名誉教授。フランス文学・思想、ポスト植民地文化論。著書に『抵抗への招待』(1997)、『応答する力』(2003)、『主権のかなたで』(2008)、『ジャッキー・デリダの墓』(2014)、『テロルはどこから到来したか』(2020)、『動物のまなざしのもとで』(編著、2022)など。訳書にジャック・デリダ『盲者の記憶』(1998)、『生きることを学ぶ、ついに』(2005)、『動物を追う、ゆえに私は(動物で)ある』(2014)など。
■参考書籍:デリダ『死を与える』 まだ持っていない場合は、ちくま学芸文庫(ISBN:ISBN:978-4480088826)をおすすめします。 *購入必須ではございません。授業では毎回レジュメを配布します
Zoomウェビナーを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師はオンライン)。見逃し配信(2週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問い合わせは、yk9yokohama@asahiculture.comで承ります。