壬申の乱は、大海人皇人と大友皇子の皇位継承の争いとして有名ですが、戦後にも大きな影響を与えました。新羅との関係が強くなり、中国との和解が遅れました。このため対外的緊張関係は継続し、大宰・総領の体制や朝鮮式山城の維持は、大宝令まで維持され、また国内的にも、長屋王の変まで「壬申の乱体制」は維持されることになりました。(仁藤講師・記) 確かにその通りで、壬申の乱は唐・新羅の直接対決という朝鮮半島の動乱の渦中に起こっており、戦争の動静が内乱の展開にも波及している可能性があります。 それから壬申の乱の敗者、大友皇子にはもともと王位継承権が乏しかったというのが通説ですが、それは正しい認識と言えるでしょうか。この点についても論じてみたいと思います。(遠山講師・記) 【講座の流れ】 先生方に30分ずつご講義いただいた後に、30分対談していただきます。
遠山 美都男:とおやま・みつお 学習院大学講師 1957年東京都生まれ。81年学習院大学文学部史学科卒業。同大学院入学、学習院大学文学部助手を経て、現在、同非常勤講師。97年、学習院大学より博士(史学)の学位を授与される。著書に『壬申の乱』『新版 大化改新』(以上、中公新書)、『白村江』『天皇と日本の起源』『天智と持統』(以上、講談社現代新書)、『古代日本の女帝とキサキ』『天武天皇の企て』(以上、角川学芸出版)、『古代の皇位継承』『敗者の日本史 大化改新と蘇我氏』(以上、吉川弘文館)、『蘇我氏四代』(ミネルヴァ書房)、『天平の三皇女』(河出文庫)など多数。
仁藤 敦史:にとう・あつし 国立歴史民俗博物館名誉教授 1960年静岡県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科満期退学。博士(文学)。専門は日本古代史(特に古代王権論、都城制成立過程の研究)。現在、国立歴史民俗博物館教授。主な著書に『古代王権と都城』(吉川弘文館)、『古代王権と官僚制』(臨川書店)、『女帝の世紀』(角川書店)、『都はなぜ移るのか−遷都の古代史−』(吉川弘文館)、『卑弥呼と台与』(山川出版社)、『古代王権と支配構造』(吉川弘文館)、『NHKさかのぼり日本史 (10)奈良・飛鳥 “都”がつくる古代国家』(NHK出版)など。
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