源氏物語には大きな政治的変革期がいくつも仕掛けられているが、中でも天皇の御代替りをめぐる動揺と流動が、物語の中にどのような力学として働くかを意図的に描き上げているように思われる。天皇の御代替りは、直接の言及は避けられ、年立的にも空白とされることが多いが、その御代替りの状況と恋の物語としての源氏物語がどのように結び合わされ、拮抗しているかを見つめることで、源氏物語の政治小説としての側面を明らかにしてゆきたい。(講師・記)
三田村 雅子:みたむら・まさこ 1948年生まれ。フェリス女学院大学名誉教授 早稲田大学大学院博士課程、フェリス女学院大学教授、上智大学教授を経て、現在に至る。専攻は物語文学、日記文学、『枕草子』。朗読文化協会理事。 著書:『枕草子 表現の論理』『源氏物語感覚の論理』(いずれも有精堂)、『源氏物語 物語空間を読む』(ちくま新書)、『源氏物語絵巻の謎を読み解く』(三谷邦明との共著・角川選書)、『源氏物語を読み解く』(秋山虔との共著・小学館)、1996年より2005年まで、河添房江・松井健児と共に雑誌『源氏研究』(翰林書房)を刊行。『天皇になれなかった皇子のものがたり』(新潮社・とんぼの本)、『記憶の中の源氏物語』(新潮社)。
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