21世紀を迎え、ますます海外との交流が盛んになり、異文化と接触する機会が増えていますが、飛行機もない過去の時代の異文化交流はどのようであったでしょうか。しかも、実際の交流をふまえつつも、楊貴妃が日本に来たとか、菅原道真が天神になって唐に渡ったとか、実際にはあり得ない話がいろいろ作られ、しかもそれらが信じられ、大きな影響を及ぼしてきました。 ここでは、そうした物語を「幻想の東西交流の物語」ととらえ、人々はなぜそのような架空の物語を必要としたのか、その意義を明らかにしたいと思います。今回は異国から来て日本の始祖となった人(百済から来て大内氏の始祖となった琳聖太子など)、逆に日本から異世界へ行った人々(渡唐天神など)をめぐって、いくつかの説話を通して読み解いてみたいと思います。 (講師記) .
小峯 和明:立教大学名誉教授 1947年静岡県生まれ。早稲田大学文学部卒業。同・大学院修了。文学博士。立教大学教授を経て、現在、立教大学名誉教授。主著:『今昔物語集の形成と構造』(笠間書院)、『今昔物語集の世界』(岩波書店ジュニア新書)、『説話の森』(岩波書店現代文庫)、『説話の声』(新曜社)、『説話の言説』(森話社)、『中世説話の世界を読む』(岩波書店セミナーブックス)、編著『今昔物語集を学ぶ人のために』(世界思想社)、『今昔物語集・宇治拾遺物語』(新潮社古典文学アルバム)、『院政期文学論』(笠間書院)、『中世日本の予言書』(岩波新書)ほか。
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