広大すぎる領土と内部分裂の進行もあり、ローマ帝国は既に分割統治を繰り返していましたが、結果として395年の分割が最終的なものとなりました。帝国は二度と統一されることなく、西ローマ帝国の滅亡を迎えるのです。 西ローマの滅亡要因として、古来より様々な説が唱えられてきました。例えば、ゲルマン民族の大移動と結びつけられることも多いのですが、現実はそれほど単純なものではありません。帝国衰退の過程は緩やかであり、「寿命」という表現も的外れとは言えません。求心力の低下が崩壊の最大要因です。 西ローマ帝国内部には次々にゲルマン系の王国が成立し、実効支配はイタリアや南仏、そして北アフリカに限定されました。410年には西ゴート族によるローマ市占領、455年にはヴァンダル族による再度の占領が発生します。このヴァンダル族は、北アフリカの穀倉地帯を征服して深刻な打撃を与えていました。 東ローマ帝国による来援も、かえって混乱を助長しました。とはいえ、西ローマ帝国はその終幕まで「見せ場」を我々に提供してくれます。(講師・記) 第1回 ローマ帝国の東西分割 それぞれの道 第2回 ゲルマン民族の大移動 ローマ市占領 第3回 西ローマ帝国の滅亡 ローマの残照 【画像】元老院議場(フォロ・ロマーノ) ★教室では毎回講座終了後に20分程度の参考動画を視聴します。
倉橋 良伸:電気通信大学講師 1962年生まれ。上智大学大学院文学研究科史学専攻博士後期課程単位取得。専攻は、後期ローマ・初期ビザンツ帝国史。著書に『地中海世界史T 古代地中海世界の統一と変容』、『歴史学の現在5 再生する終末思想』(以上共著・青木書店)、『古代地中海世界 古代ギリシア・ローマ史論集』(共著・清水弘文堂)、『彷徨−西洋中世世界』(共著・南窓社)、『躍動する古代ローマ世界』(編著・理想社)など。
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