「中国三千年の歴史」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。あるいは「中国四千年の歴史」かもしれません。「中国五千年の歴史」という呼び方もあるようです。これらはいずれも、どれが間違っていてどれが正しい、という種類の話ではなく、「中国」の成立をどこに求めるのか、という立場の違いにすぎません。“中国的”な世界は、いつ、どのように誕生したのでしょうか。そもそも、“中国的”か否かは何をもって定義されるのでしょうか。本講座では、新石器時代の中国を舞台に“中国的な”世界が徐々に形成されていった過程を具体的な遺物や遺跡を通じで学びます。なんとなく明らかなようで実はよくわからない“中国文明”の実像を、一緒に探してみましょう。 【蘇秉gが見た世界】 “中国文明”とは、何でしょうか。狭い意味では、現在の中華人民共和国の領域に歴史的に存在していた考古学文化の総体を“中国文明”と呼ぶことができるかもしれません。しかし実際には、時代によって、地域によって、様々に異なる考古学文化が中国大陸に存在していたことが明らかになっています。“中国”というまとまりは昔から確かに存在していたのでしょうか。それともそれは現代人が過去に投影する幻想に過ぎないのでしょうか。 本講座では、“中国的”世界の成立を考古学的に明らかにしようとした大学者・蘇秉g(そ へいき)の研究を通じて、中国文明の成立に関する様々な議論を解説します。彼の語る「文明誕生の三部曲」を、新石器時代の中国を対象に概観しましょう。 (講師・記)
角道 亮介:駒澤大学准教授 1982年生まれ。千葉県出身。専門は中国考古学。北京大学考古文博学院への留学中、陝西省の周公廟遺跡にて西周時代遺跡の発掘調査に参加。2013年に東京大学大学院にて博士号取得。日本学術振興会特別研究員を経て、2014年より現職。主な著書に『西周王朝とその青銅器』(六一書房)、『地下からの贈り物―新出土資料が語るいにしえの中国』(東方書店、共著)、『北京大学版中国の文明1 古代文明の誕生と展開(上)』(潮出版社、翻訳)など。
資料は当日になることがあります。
Zoomウェビナーを使用した、教室でもオンラインでも受講できる自由選択講座です(講師は教室)。見逃し配信(2週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問い合わせは、yk9yokohama@asahiculture.comで承ります。