『源氏物語』の解釈は、各時代で様々になされてきました。とりわけ、室町時代は、物語に対する注釈が大きく発展した時期と言えます。様々な角度から物語内容への検討が加えられ、多様な注釈書が作成されていきました。 そうした室町期に作成された古注釈書の中には、現代の解釈の基盤となるような部分も含まれてはいますが、一方で、現代の我々とは大きく異なる視点で、全く別の解釈や捉え方をする箇所もまま見られます。これらは、現代の解釈においては切り捨てられてしまった部分と言えますが、実は、興味深く面白い視点がいくつも存在します。なかでも、帚木巻は、古注釈書にとって大きな意味を持つ、重要な巻でした。 そこで本講座では、帚木巻の特徴的なの場面を扱い、いくつかの古注釈書の指摘を踏まえながら、室町時代の人々が捉えていた『源氏物語』の作品世界に迫っていきたいと思います。それぞれの古注釈書の性格を押さえ、その注釈内容を丁寧に読み解きながら、室町時代の人々の息づかいを掴んでみましょう。普段触れることの少ない『源氏物語』古注釈書の世界に触れ、新たな『源氏物語』の魅力に気付いていただこうと思います。 ■10月期スケジュール 第4回 冒頭の解釈と雨夜の品定め 第5回 比定される女君たち 第6回 女性論のまとめ ■全体カリキュラム 第1回 室町期の古注釈書の概観 第2回 「帚木」とは何か 第3回 序分としての捉え方 第4回 冒頭の解釈と雨夜の品定め 第5回 比定される女君たち 第6回 女性論のまとめ
松本 大:まつもと・おおき 関西大学文学部教授。博士(文学)。埼玉県出身。専門は、平安文学作品の享受史研究であり、特に室町期の『源氏物語』注釈書・享受資料を対象とする。注釈書などに見られる各時代の文学享受のあり方に注目し、古典文学作品の新たな理解の方法を探っている。著書に、『源氏物語古注釈書の研究―『河海抄』を中心とした中世源氏学の諸相―』(和泉書院、2018年)、『源氏物語を読むための25章』(河添房江氏との共編著。武蔵野書院、2023年)などがある。また、第7回中古文学会賞(2014年)、第12回日本古典文学学術賞(2019年)などを受賞している。
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