戦後の中国では戦争で荒廃した経済の復興のためとして、多数の日本人技術者・労働者・医師・看護師・軍人らが各地に留まり徴用された。それは大多数の日本人が引揚げた後も続き、国民党や共産党側からの「要請」に応じるという形で少なくとも数万人に達した。東アジアの冷戦構造の中で生じたこうした「留用」と呼ばれる措置は中華人民共和国建国後までも続いた。旧「満洲」、台湾、中国本土の「留用」の史実を繙(ひもと)き、戦後日中関係史の空白を見つめる。 <各回のテーマ> 第1回 「留用」政策と旧「満洲」・台湾 第2回 中国本土各地の「留用」、そして今
堀井 弘一郎:(ほりい・こういちろう)元日本大学講師 1952年生まれ。1976年京都大学法学部卒業。2009年日本大学大学院総合社会情報専攻博士後期課程修了。博士(総合社会文化)。都立高校教諭、開智国際大学講師、日本大学講師等を歴任。専門は中国近現代史・日中関係史。高校で世界史担当の経験ももつ。著書・論文に『「満州」から集団連行された鉄道技術者たち』(創土社)、『汪兆銘政権と新国民運動』(創土社)、『上海の戦後』(共編著、勉誠出版)、『戦時上海グレーゾーン』(共編著、勉誠出版)、『現代アジア事典』(共編著、文眞堂)、『アヘンからよむアジア史』(共著、勉誠出版)、「郷土史と戦時国際法をつなぐ」(『東京の歴史教育』48号)、「戦時下上海の日中新聞メディア」(『立命館 言語文化研究』30巻1号)、「「和平建国」の夢のあとさき」(共著『グレーゾーンと帝国』勉誠社)等。
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