今年7月から「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(大阪、東京、名古屋)、9月から「大ゴッホ展」(神戸、福島、東京)が、また5月末からは「ゴッホ・インパクト展」(箱根)が開かれます。かつて「狂気の天才」とも呼ばれたファン・ゴッホのイメージは、今大きく変わりつつあります。7月からの展覧会は、ファン・ゴッホの名声をつくりあげたファン・ゴッホ家の人々に光を当てた展覧会です。本講座では、息子フィンセントを支えた両親、兄を精神的、経済的に支え続けた弟テオ、テオの死後ファン・ゴッホ作品を守り、画家の名声を築いた弟の妻ヨー、ファン・ゴッホ美術館を創建した甥フィンセント・ウィレム、さらにその子孫たちの役割を、講師自身と子孫たちとの繋がりにもふれつつお話しします。 「ファン・ゴッホ」は家族以外の人々によってもつくられてきました。ファン・ゴッホ作品の収集に情熱を傾けたクレラー=ミュラー夫人はそのコレクションを収める美術館の設立に一生を捧げます。「大ゴッホ展」にはこのクレラー=ミュラー美術館の作品が出展されます。また、次々に現れる贋作を見抜き、ファン・ゴッホの真作を確定する作業をしてきた人々、ファン・ゴッホという画家の物語を世界に広げた伝記映画の役割にもふれつつ、ファン・ゴッホをつくりあげてきた後世の人々の肖像を描き出します。(講師・記) 【7月期テーマ】 ファン・ゴッホ家の人々1 両親とテオ ファン・ゴッホ家の人々2 テオとヨー ファン・ゴッホ家の人々3 ヨー、フィンセント・ウィレム、その後 【10月期テーマ】 クレラー=ミュラー夫人 ファン・ゴッホ作品の真贋鑑定史 伝記映画が作ったファン・ゴッホ像 画像クレジット: フィンセント・ファン・ゴッホ 《画家としての自画像》 1887年12月-1888年2月 ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation) 参考文献:[圀府寺司著「『ファン・ゴッホ生成変容史』」(三元社)](http://sangensha.co.jp/allbooks/index/567.htm) ■展覧会情報■ ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢 [ 大阪展 ] 2025年7月5日(土)〜8月31日(日) 大阪市立美術館 [ 東京展 ] 2025年9月12日(金)〜12月21日(日) 東京都美術館 [名古屋展] 2026年1月3日(土)〜3月23日(月) 愛知県美術館 [公式サイト](https://gogh2025-26.jp/)
圀府寺 司:こうでら・つかさ 大阪大学名誉教授。大阪大学文学部卒、アムステルダム大学美術史研究所・修士、博士。オランダ・エラスムス財団よりエラスムス研究賞受賞。主要著書:『ユダヤ人と近代美術』、『ああ、誰がシャガールを理解したでしょうか?』(編著)、『西洋美術研究4 特集・美術史とユダヤ』(編著)、 Vincent van Gogh: Christianity versus Nature (『ファン・ゴッホ 宗教と自然の闘争』小学館)、The Mythology of Vincent van Gogh (『ファン・ゴッホ神話』編著 テレビ朝日)、Van Gogh & Japan (『ファン・ゴッホと日本』共編著 青幻舎)、『ファン・ゴッホ生成変容史』(三元社)ほか、訳書に『ファン・ゴッホの手紙 I・II』(新潮社) がある。
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