昭和という時代はどのような時代だったのでしょうか。昭和を生きた人びとは、その時代に入り込んでいたがゆえに、意外と昭和を相対化するのが難しいかもしれません。昭和を知らない世代にとっては、完全な過去ですから、関心の触手が伸びないかもしれません。そこで、名作映画を手がかりにして、いまでは遠くなった昭和を手繰り寄せます。あの時代を生きた人びとは、何を考え、いかに生きたのか、改めて考えてみたいと思います。(講師:記) 【各回のテーマ】※各回ごとのお申込みも可能です。 7月:[昭和を映す名作映画:『白い巨塔』(1966)](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7997002) 山崎豊子の原作を社会派映画の巨匠・山本薩夫が監督した『白い巨塔』は、繰り返しリメイクされることで誰もが知る作品となりました。私たちはなぜこの作品にこれほどまでに惹かれるのでしょうか?それは理想と現実のはざまで〈男〉たちの姿が描かれているからでしょう。この映画を通して、「昭和の男」の可能性と限界を論じます。 8月:[昭和を映す名作映画:『仁義なき戦い』(1973)](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7997003) 『仁義なき戦い』は、俳優たちの演技と深作欣二の演出、そして笠原和夫の脚本が奇跡のように融合した傑作で、すでに評価は定まっています。レクチャーでは、この名作に込められた深作と笠原の戦争体験、東映の任侠映画からの転換を論じます。また、この映画を高く評価した評論家や観客に注目して、昭和という時代に迫ります。 9月:[昭和を映す名作映画:『火垂るの墓』(1988)](https://www.asahiculture.com/asahiculture/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kozaId=7997004) 高畑勲が監督したこの作品は、戦争を描いたアニメーションの金字塔です。野坂昭如の原作を、高畑はどのように解釈し、いかなるアニメーション表現に落とし込んだのでしょうか。作品が公開された時期は、昭和の終わりにほぼ重なります。「昭和」の戦争の記憶と合わせて、この作品の射程を見極めます。
山本 昭宏:神戸市外国語大学准教授。1984年、奈良県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。文学(博士)。主著に『大江健三郎とその時代』(人文書院、2019年)、『戦後民主主義』(中公新書、2021年)、『変質する平和主義』(朝日新聞出版、2024年)など。
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