日本列島は、南北に細長く、さらに海岸から3000m級の高山まで標高差が大きく、多様な自然に恵まれ、実に多くの動植物が生息しています。鳥類だけでも644種が記録されています。本講座では、北は北海道から南は西表島まで、日本列島各地を代表する野鳥をとりあげ、その特徴や見どころ、興味深い生態などを分かりやすく解説します。また、野鳥の生態を通して日本列島の地理的な特徴についても検討してみます。 ここで取り上げるフィールドや鳥類は、講師が実際に現地を訪ね、観察したものです。自身の目で観察、確認した最新情報を提供します。日本固有の鳥類について知りたいという方はもとより、鳥のくらしや生態を知りたい、各地の野鳥や自然を訪ねたい、あるいは、生態写真を撮りたいなどと思っている方に、ホットでリアルな情報を提供します。 今学期は、北海道編です。北海道の自然は、スケールが大きく、生息している鳥類も多種多様で、各地に分散しており、何をどこから紹介したものか迷うくらいです。海鳥と言えば、何と言っても天売島のウトウの巨大なコロニーであり、ケイマフリ、ウミガラスなどです。また、野付半島やオホーツク海岸の原生花園でさえずる草原の鳥、ノビタキ、ノゴマなども実に魅力的です。鬱蒼とした原生林の奥深くで繁殖するクマゲラやシマフクロウなどの生態をはじめ、本州では見られないヤマゲラ、ハシブトガラ、シマエナガなども取り上げたいと思います。また、高山の鳥では、旭岳のハイマツ帯で繁殖している真っ赤なギンザンマシコの生態も紹介します。(講師・記) *** 【カリキュラム(予定)】 <2025年4月期> 北海道編 第1回 天売島、海鳥の宝庫:100万羽のウトウのコロニー、オロロンチョウなど 第2回 原生花園、草原の歌い手たち:ノビタキ、ノゴマ、シマアオジ 第3回 原生林、屈斜路湖:クマゲラ、ベニマシコ 第4回 旭岳・十勝岳:真っ赤な鳥(ギンザンマシコ)、天空のお花畑 <2025年7月期> 北陸・中部編 第1回 北アルプス、立山連峰:足元までやってくるライチョウ親子 第2回 富士山五合目(亜高山の野鳥):ホシガラス、ルリビタキ、カヤクグリ 第3回 佐渡:トキの絶滅と復活 第4回 舳倉島、粟島:日本海に浮かぶ野鳥の楽園、渡り鳥たちの命をつなぐ <2025年10月期> 東北編 第1回 津軽海峡、龍飛岬を渡る野鳥:シジュウカラ、ハクチョウ、ハヤブサ 第2回 八郎潟:ノスリの繁殖、真っ白なガン(ハクガンの越冬) 第3回 伊豆沼、蕪栗沼:復活したシジュウカラガン、ハクチョウの越冬 第4回 復興した南三陸:志津川湾で越冬するコクガン、オオバン、(労働寄生について) <2026年1月期> 九州・南西諸島編 第1回 対馬(長崎県):大空を埋めつくすアカハラダカの渡り 第2回 福江島(五島列島):東シナ海に飛び立つ猛禽(ハチクマ)の大群 第3回 奄美大島、固有種の宝庫:ルリカケス、オーストンオオアカゲラ、アカヒゲ 第4回 沖縄、宮古島、石垣島、西表島:ヤンバルクイナ、ノグチゲラ、カンムリワシ *** 【広報画像】 @[左上]原生花園で繁殖するノビタキ(オムサロ原生花園・紋別市)(講師撮影)/[右上]子育て中のクマゲラ(北海道の原生林)(講師撮影)/[右下]夜、雛のいる島に戻るウトウ(天売島)(講師撮影)/[左下]ハイマツ帯で繁殖するギンザンマシコ(旭岳)(講師撮影) Aクマゲラなどが繁殖するオオシラビソの原生林(旭岳のケーブルカーより)(講師撮影) B北海道の地図(イメージ画像)
唐沢 孝一:(からさわ・こういち)NPO法人自然観察大学前学長。東京教育大学(現筑波大学)理学部動物学科を卒業。都立高校の生物教師を経て、埼玉大学教育学部で「自然観察入門」を担当。日本鳥学会評議員、都市鳥研究会代表、NPO法人自然観察大学学長などを歴任。執筆や講演、自然観察など多方面にわたって活動している。著書に、『唐沢流 自然観察の愉しみ方――自然を見る目が一変する』(2014)地人書館、『目からウロコの自然観察』(2018)中公新書、『都会の鳥の生態学――カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰』(2023)中公新書、他多数。
【参考文献】 ●唐沢孝一『唐沢流 自然観察の愉しみ方――自然を見る目が一変する』(2014)地人書館
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