巻四の冒頭からはじめます。巻四はほぼ短歌で、長歌が七首、旋頭歌が一首といった構成で、巻二の相聞歌の拾遺に大伴家持の「青の時代」の歌巻をくわえて一巻としたようです。平城京に暮らす万葉の人びとの、ゆたかな和歌生活を味わうにはふさわしい歌巻です。「わたしの恋心は車七台分よ」。こんな楽しい恋をうたった女性も。はじめて『万葉集』を学んでみようとお思いの皆さんも、どうぞ。 *****************************
東 茂美:福岡女学院大学名誉教授 1953(昭28)年,佐賀県伊万里生れ。成城大学大学院博士課程修了。博士(文学)。著書に『大伴坂上郎女』(1994年,笠間書院),『東アジア万葉新風景』(2000年,西日本新聞社),『山上憶良の研究』(2006年,翰林書房),『万葉集の春夏秋冬』(2013年,笠間書院),『鯨鯢と呼ばれた男 菅原道真』,『元号「令和」と万葉集』『古代万葉の歳時記』(2019年,2020年、2021年、共に海鳥社)、(などがある。各地の市民講座講師としても人気を博し,全国で開催される講演会でも活躍中。