中世哲学の始まりとなるアウグスティヌスから少しずつ学んでいきます。テキストとして用いるリーゼンフーバー『西洋古代中世哲学史』(平凡社ライブラリ―)は、古代哲学についても丁寧に記述されています。それも資料として活用しながら、中世神学と哲学を一歩一歩コツコツと学んでいきます。アリストテレスに由来する難しい用語も学びつつ、中世の人々の悩みや思いを読み取りながら進めていきます。予備知識は不要の分かりやすい講座にします。(講師・記) テキスト:各自お求めください。リーゼンフーバー『西洋古代中世哲学史』(平凡社ライブラリ―) 【カリキュラム】※状況により変更することもございます。 ■2025年1月〜6月 【中世哲学の始まり】 (1) 古代ギリシア哲学から中世哲学へ――なぜアリストテレスは大事なのか、キリスト教が引き起こした思想的大革命 (2) 中世哲学の手前――新プラトン主義と教父哲学 (3)アウグスティヌスの思想――キリスト教と哲学を結びつけることは大変だった (4 )アウグスティヌスの影響――スコラ哲学の基礎はアウグスティヌスにある 【中世哲学の黄金時代】 (5)イスラーム哲学の影響――アヴィセンナやアヴェロエスの思想はなぜ中世哲学にとって大事なのか (6)トマス・アクィナスの哲学――偉大で巨大なトマス・アクィナスの思想をどうすれば語ることができるのか ■2025年7月〜12月 (7)トマス・アクィナスとその時代――トマス・アクィナスは当時の哲学の中で飛びぬけてた。トマスの哲学をさらに深掘りしていく (8)13世紀後半の知的革命――大学制度が確立し、パリ大学は大哲学者たちを次々と輩出していった。激動の姿と近代への潮流の始まりを見る (9)フランシスコ会の流れ――第二のキリストと崇められたフランチェスコの学派は近代哲学の源流ともいえる (10)ドゥンス・スコトゥス――個体性を重視し、存在の一義性を語ったスコトゥスの思想がなぜ画期的だったのかを考える 【中世から近代へ】 (11)オッカムと唯名論と神秘主義――ルターの宗教改革の基盤となったのが、オッカムの唯名論だった。また時代的に重なるエックハルトに発する神秘主義の流れも合わせて考えていく。 (12)バロックスコラ哲学とイエズス会――大航海時代の中でスコラ哲学が思弁だけでなく、実践と経済において大きな役割を果たしたことはあまり知られていない。その様子、つまり世界史の流れに貢献したスコラ哲学の様子を見る。 ※お申込みは6ヶ月単位です。途中からのご受講もいただけます。
山内 志朗:やまうち・しろう 慶応義塾大名誉教授 1957年山形県生まれ。東京大学大学院文学研究科博士課程退学。慶應義塾大学名誉教授。専攻は、西洋中世近世形而上学、倫理学。主な著書に『普遍論争―近代の源流としての』(平凡社)、『天使の記号学』(岩波書店)、『ライプニッツ』『〈つまずき〉のなかの哲学』(NHK出版)、『哲学と笑いの微妙な関係』(哲学書房)、『〈誤読の哲学〉』(青土社)、『小さな倫理学入門』『感じるスコラ哲学―存在と神を味わった中世』(ともに慶応義塾大学出版会)、『湯殿山の哲学:修験と花と存在と』(ぷねうま舎)、『目的なき人生を生きる』(角川新書)、『過去と和解するための哲学』(大和書房)など多数。2021年12月『ドゥルーズ 内在性の形而上学』(講談社選書メチエ)。
Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。見逃し配信(2週間限定)はマイページにアップします。各自ご確認ください。お問合せはasaculonline001@asahiculture.comで承ります。