「トーマス・マン生誕150年」にあたる2025年に、マンの代表作『ヴェニスに死す』(1912年)を味読しませんか。イタリアの監督ルキノ・ヴィスコンティによる映画版で、ご存じの方も多いかもしれません。著名な男性作家が、旅先のヴェニスで、美少年に心を奪われて没落していく。そんな内容の物語は、世界文学史上でも類を見ないデカダンス小説です。ただし、単なる退廃的・耽美的な作品ではありません。マンが新しきものの始まりを没落に希求したことにも、ふれる予定です。 各回の内容 •第1回授業:『ヴェニスに死す』(1)——世紀末ミュンヒェン •第2回授業:『ヴェニスに死す』(2)——ヴェニスへの誘い •第3回授業:『ヴェニスに死す』(3)——愛の彼方 テキスト トーマス・マン『トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す』高橋義孝訳、新潮文庫
小黒 康正:1964年生まれ。北海道小樽市出身。元ミュンヒェン大学日本センター講師。現在、九州大学大学院人文科学研究院教授、同研究院附属言語運用総合研究センター長、日本独文学会会長、日本学術会議連携会員、西日本日独協会副会長。著書に『黙示録を夢みるとき トーマス・マンとアレゴリー』(鳥影社、2001年)、『水の女 トポスへの船路』(九州大学出版会、2012年;新装版2021年)、『100分de名著 トーマス・マン『魔の山』』(NHK出版、2024年)。編著に『対訳 ドイツ語で読む「魔の山」』(白水社、2023年)など。訳書にヘルタ・ミュラー『心獣』(三修社、2014年)、クリストフ・マルティン・ヴィーラント『王子ビリビンカー物語』(同学社、2016年)、ヘルタ・ミュラー『呼び出し』(三修社、2022年)、フケー『皇帝ユリアヌスと騎士たちの物語』(同学社、2023年)など。2024年5月にNHK「100分de名著 『魔の山』」に講師として出演、合気道四段。
テキスト トーマス・マン「トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す」
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