『小右記』は右大臣藤原実資によって書かれた和製漢文体の日記です。現在、すべて写本ですが、1000年前後を記した50余年にわたる記事が残されています。ちょうど紫式部や藤原道長の時代にあたります。 会議は、左大臣を筆頭に20余人の公卿の参加で行われ、審議した結果は天皇に奏上されます。会議場が近衛の陣(近衛府の詰め所)なので、その決定を陣定と言います。『小右記』の本文から、審議の一端を見ていきましょう。(講師・記) 4月5日 陣定(じんのさだめ)─諸案件の審議─ 6月7日 地方行政 ─受領国司の支配─
野口 孝子:公益財団法人古代学協会客員研究員 早稲田大学卒。鹿児島大学大学院修了。専門は日本古代史。平安時代の邸宅相続や里内裏が主な研究テーマ。近年、平安時代の夜化に注目し「夜」の視点で平安京を見直している。2019年度まで同志社女子大学講師。