この講座では、中世神道、すなわち日本中世の神(カミ)をめぐる信仰と思想について採り上げます。副題を「日本中世の神と仏」としたのは、中世の神信仰は仏教との関わりなくしてはあり得なかったからです。このことは古代(奈良・平安)でも同様ですが、中世が少し異なるのは、神信仰が仏教から離脱・自立する傾向を示すようになったことです。 中世神道の形成には、それまでの真言・天台の仏教教説に加えて、新しく大陸からもたらされた禅や道教などが大きく関わっています。このように、さまざまな信仰・思想が融合して作り上げられた中世神道の世界を、最新の研究成果を盛り込みながらひとつひとつ丁寧に解説していきます。 中世神道は、近代以後とはさまざまな点で大きく異なっています。しかしその一方、中世を起源とする要素は意外と多いのです。現代の神社や神道への理解も、歴史的展開を踏まえることでいっそう深まることでしょう。(講師・記) 2025年4月開講。※各回テーマは裏面をご覧ください。 <各回テーマ>※各回テーマは予定です。変更になる場合もございますので、予めご了承ください。 ■2025年4-6月期 第1回 慈悲深き神々の出現――本地垂迹説と神祇信仰の変容 第2回 中世日本紀――『日本書紀』リバイバルと新しき神話の創造 第3回 「神の国」日本――神国思想の中世的展開 ■2025年7-9月期 第4回 神道説の登場――両部神道・伊勢神道・山王神道 第5回 秘儀秘伝としての神道――神道灌頂と神道流派の形成 第6回 〈内なる神〉の発見――変容する神観念と霊魂観 ※以降のテーマは未定です。
伊藤 聡:岐阜県生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程満期退学。博士(文学)。茨城大学人文社会科学部教授。専門は日本思想史、特に中世神道、神仏習合思想。主な著書に『中世天照大神信仰の研究』法藏館 2011(第34回角川源義賞)、『神道とは何か―神と仏の日本史』中公新書 2012、『神道の形成と中世神話』吉川弘文館 2016、『神道の中世―伊勢神宮・吉田神道・中世日本紀』中公選書 2020、『日本像の起源―つくられる〈日本的なるもの〉』角川選書 2021がある。
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