井筒俊彦の全集や英文著作の邦訳が刊行され、井筒の著作の全体への接近が比較的容易になった。彼の「東洋哲学」をめぐっての議論は増えてきたが、研究や業績の質や量ではそれを凌駕している彼のイスラーム研究については十分な関心を集めていない。晩年の関心はそこにあったであろうが、「東洋哲学」の観点でのみ井筒をとらえることは井筒の学問の全体像を捉えることにはならないであろう。ここでは彼のイスラーム研究に焦点をあて、イスラームの総体のなかで井筒の研究の位置付けやその特徴、研究関心のあり方やその推移などについて考えたい。2025年4月から一年で全4回完結予定。 今期(5/24)のテーマ: (1)井筒のイスラーム研究の拡がり 来期以降、各期のテーマ: (2)クルアーン研究 (3)イスラーム思想史 (4)神秘哲学
鎌田 繁:東京大学名誉教授 1951年東京生まれ。東京大学文学部卒。同大学院宗教学宗教史学専門課程及びマッギル大学イスラーム学研究所(カナダ)で学ぶ。東京大学東洋文化研究所教授を経て、現在は東京大学名誉教授。専門はイスラーム思想(とくに神秘思想、シーア派研究)。著書に『イスラームの深層―「遍在する神」とは何か』NHK出版の他、近年の論考は以下に収載されている。『東大塾 現代イスラーム講義』東京大学出版会(長沢栄治・後藤絵美編 2023 年)、『井筒俊彦の東洋哲学』慶應義塾大学出版会、『身心変容のワザ?技法と伝承』サンガ、『井筒俊彦とイスラーム』慶應義塾大学出版会、『宗教の壁を乗り越える』ノンブル社、『イスラームの神秘主義と聖者信仰』東京大学出版会、『グローバル時代の宗教間対話』 大正大学出版会 、『岩波講座宗教4根源へ 思索の冒険』岩波書店、『アジア学の将来像』東京大学出版会、『講義 宗教の「戦争」論』鈴木董[編]山川出版社。
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