1854(安政元)年、幕府はアメリカ東インド艦隊司令長官のペリーと日米和親条約を結び、日本は国際社会の荒波へと乗り出していきました。その後、1858(安政5)年にはアメリカ・オランダ・ロシア・イギリス・フランスと通商条約を結び、翌年には横浜で貿易が開始されました。こうして日本の国際化は急激に進み、その後の数年間で、日本はポルトガル・プロイセン(現在のドイツ)・スイス・ベルギー・イタリア・デンマークとも通商条約を結んでいきました。 諸外国との交流の場所になったのは横浜で、この都市は日本の国際化・近代化の実験場になっていきます。こうして横浜では西洋の文物(衣食住に関するすべてのもの)が珍しいものではなくなり、幕府や政府は江戸(東京)と横浜を結ぶ蒸気船・鉄道・電信などの実用化を積極的に推し進めました。また、西洋人だけでなく多くの中国人も横浜に移住し、横浜は日本最大の国際都市として成長していきます。 講師は横浜と日本の近代化に関する資料を多く所蔵する横浜開港資料館に40年以上にわたって勤務してきましたが、講義では同館が所蔵する資料(文献資料に加えて浮世絵・古写真・古地図など)を題材にして話を進めていきます。当面はペリー来航から明治時代初頭の時期を対象にしていきますが、その後、日本の近代化が一層進んでいく日清戦争の時期までを扱っていきたいと思っています。(講師記) *2023年10月開講。 <今期のカリキュラム> 4月 着色写真に見る明治の横浜 5月 横浜中華街の歴史 6月 政治と実業の時代(関口日記を題材にして)
西川 武臣:にしかわ たけおみ 愛知県生まれ。明治大学大学院博士前期課程修了。博士(史学)。現在、横浜開港資料館館長。専門は日本近世・近代史。著書に、『横浜開港と交通の近代化−蒸気船・鉄道・馬車をめぐって』日本経済評論社、『幕末明治の国際市場と日本ー生糸貿易と横浜』雄山閣、『ペリー来航』中公新書など。
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